第14話 ページ14
身体を起こそうとすると床に血が落ちる。それが自分の血だと気がつくと、顔を上げて静かに息を吐いた。
近くに落としたガラス片を持てば、軽く握って連中の狙いを定めるように眼を細めた。
腕を振り上げ、投げつけると狙った通り顔面を掠って血が垂れる。口の端をあげると小さく笑った。
「ッ・・・アイツ」
アイツらの思い通りになんてさせない。
私は、2人の弱点なんかになった覚えはないッ。
「舐めやがって。よっぽど死にてェみたいだ。腕と脚、もう一本ずついっとくかァ?」
「やってみろよッ・・・ガキが」
ケンカなんて言えないような一方的な暴力を受ければ、あちこち痣だらけで口や頭から血が滴り落ちる。
抵抗をやめたのも、とうとう身体が動かなくなったから。壁にもたれかかって顔を上げると肩を揺らして笑った。
「ははっ、めっちゃ痛ーっ。はぁ・・・もう身体動かないわ。全員、医療費請求するから覚えときなよ」
「コイツ、バケモンかよ。女のクセしてタフ過ぎんだろ、手こずらせやがって」
「殴っても殴っても立ち上がって、ヤベぇよ」
「いやいや・・・勝った気でいるの?馬鹿だねー。ケンカなんか、相手の心へし折らなくちゃ。油断大敵だよー・・・っ」
口に布を噛ませられそうになると、後ろに隠し持っていた空き瓶を掴んで目の前の男にヒットさせる。
呻き声を上げて倒れると頭からは血が出ている。油断するのを待った甲斐があった。
「てんめェ、何してくれてんだッ・・・調子乗りやがって!!」
「身体が動かないんだから、喋るぐらいいでしょ。それとも何っ、私と話すのは・・・怖い?」
胸ぐらを掴まれて身体が持ち上がるが、頭を反らせると思い切り打ち付けた。ゴンッと鈍い音が響くと相手の額が赤くなる。
「クッソッ・・・この、クソ女が。てめェ、普通じゃ生きて行けねェような屈辱を味わせてやるよ」
ソファに投げつけられると跨ってくる男。動かないって言ってんのに、身体を押さえる男。耳ついてないの?アホでしょ。
で、瓶を喰らってまともに動けない一人は・・・見張りか。
意外と冷静だなー、私。
「その減らず口がいつまで持つか見物だなァ」
「バカみたい・・・。どうせ、最後に倒れてるのはアンタ達なのに。好きにしなよ」
ボタンが引きちぎられる音。肌に触れられると不快感から身体は強ばり、眉を寄せるとスカートも荒々しく捲られる。
だけど、脚に男が触れようとした瞬間 男の背後に鬼が見えた。
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