第13話 ページ13
マンションのエレベーターでフロアにつけば、携帯を開く。鍵を開けて入ろうとした瞬間だった。
背後から口を塞がれる。自分より圧倒的に強い力、普通に抵抗しても無駄なの事はスグにわかった。
指を掴んで曲げて引けば、一瞬怯んだ隙に前へと飛び出した。
振り返った先、目に映るのは振り上げられた拳。
頭に鈍痛が響けば、手から落ちた携帯が音を立てた。
「ッ・・・嘘、でしょ」
飛び散った血、片目を閉じると玄関に倒れ込んだ。痛みに耐えながら携帯に手を伸ばせば、嫌な音が響く。
「っあ''ぁッ・・・!!!」
腕が動かない、骨が折れた音だ。腕を押さえると身体を縮めて痛みに苦しむ。歯を噛み締め、片目だけ動かせば襲ってきた連中の顔を視界に入れた。
「悪いなー。腕を折っちまったか?」
「携帯を壊すつもりが、手ェなんか出すから間違えたろうが」
一瞬で状況は理解した。
バキッと携帯が踏み潰される音。連絡手段を潰した、ここで私を人質にして2人をやるつもりだ。
「これで頼りのお兄ちゃん達には連絡できないな、残念」
コイツら、昨日の連中っ。どうやってここまで入った?それよりこの状況は・・・マズイ。
「ここまで来るとか馬鹿すぎる。誰の家かわかってる?アンタ達、死にたいの」
壁を頼りに腕を押さえながら立ち上がると、少しずつ後ろへと下がった。距離を詰められるのはアウト、確か空瓶が・・・。
「ほら、さっさと入ろぜ。オイ、灰谷の妹 捕まえとけよ」
「コイツがいれば、手ェ出せねェだろ。アイツらにはこの間、散々可愛がってもらったしなァ」
「はぁ?人質とかなる気ないから。それとウチに入んないでくれる。アンタらじゃ、豚に真珠でしょ」
「クソがッ、てめェは黙って捕まってろ」
手を思い切り払いのけると、手のひらを握り締めた。こんな時、自分の弱さが堪らなく嫌になる。
「へー、やる気か?しょうがねェな、可愛がってやるよ」
振り上げられた拳、落ちてくると同時に身体を反らせて避ける。次の拳も、次も、段々と苛立ってるのがわかる。
動けば折れている腕も揺れて痛みが身体に響く。眉根を寄せて、唇を噛み締めれば、ソファの足元にある空瓶を掴んだ。
大きな音を立てて割れる瓶、割れたガラス片を掴んで向けた。
「2人に一度やられといて、女を使う時点でダサいのよッ。潔く負けを認めろよ」
「うるせェ口だな!少し黙ってろッ」
顔にもろに食らう。身体が後ろに倒れると大窓に頭を打ち付けて、そのまま床に倒れた。
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