第11話 ページ11
「へぇ。確かに、随分大切にされるみたいだな」
「蘭ちゃん達のケンカ相手が私にやり返しに来る事もあるし・・・まあ絶賛、標的になってるというのもあるしねー」
頬杖をついて気だるそうにため息をつくとドラケン君の表情が僅かに険しくなってる。
「は?女狙う奴がいんのか。どこのどいつだ、そのバカな連中は」
目を丸くして目元を細めれば、口元に弧を描く。
やっぱ優しいじゃん。
女、子どもには手を出さない、そういう感じか。
「ねえ、オマエさー・・・灰谷の妹だっけ、ケンカできんの?
見た感じ、弱そうだけど」
マイキーはあまり興味ないのかと思っていたけど、灰谷兄弟の妹って事ぐらいは覚えてくれたようだ。
「ははっ、正解。見た目通りだよ。
ケンカなんてからっきし、普通の女の子だよー」
「怖くねーの?自分が狙われてんのわかってんだろ」
「あー、別に。殴られたら、そりゃ痛いし、ムカつくけどさ。縮こまって、震えるような女じゃないから」
私が怖いのは、2人を失うこと。
私が殴られて終わるなら、別にそれでも構わない。
2人がブチギレる姿は鮮明に浮かんでくるけど。
「変わった女だなっ」
「灰谷兄弟に育てられてるからねー」
チャイムがなると腕を伸ばしながら立って、2人にヒラヒラと後ろ手に手を振った。
「じゃあ、また会わないといいね。お互いのために」
何だかんだ偉い私なので授業には出席し、漸くHRも終わる。机の横に掛けていた鞄を手に取ると視線に気づいた。
さっさと帰ろうと思ってたのに・・・ダルい。
クラスの女子だ。大方、竜くんの連絡先を聞く気か、私に間をとりもってもらおうとしてるのだ。
どうせ、竜くんがネンショーにも行った事ある不良だと知ったら怖くて逃げるクセに。
若干音を立てるように鞄を机に置けば、目を細めた。
「私、帰るから。退いて」
有無言わせず、押しのけるようにして教室を出れば後ろから聞こえるヒソヒソ声。
猫をかぶって優等生をしてるが、誰かと群れる気もないため友達はいない。今まで話した事もない相手に調子がいい。
「ん・・・?」
帰り道、公園のブランコのところに顔面に殴られた痕のある少年を見つける。同い年ぐらいか・・・。
携帯の時計と鞄の中を見ると少し悩みながらも、公園に足を踏み入れた。
「君、大丈夫?怪我してるけど」
「え!あ、は・・・はいっ」
ビクッと身体が跳ねた少年。見た目ヤンキーなのに、なんか・・・弱そう。あと敬語だし、実は真面目?
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