高華の不死鳥第四章 (ページ47)

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第189話火で火は消えぬページ47

テジュンの荷物を見ると突き返す訳にも行かず、ハクが首根っこを掴めば、仕方なく姫様に合わせる。

ｷｼﾞｬ「A、ハク。そいつは！」

ﾃｼﾞｭﾝ「こらっ、離せっ」

ﾖﾅ「また来たの？」

姫様を前に正座をしたテジュンはコクコクと嬉しそうに頷く。

ﾃｼﾞｭﾝ「きょ、今日お伺いしたのは･･･。あああの差し入れを･･･」

風呂敷を解き、重箱の蓋をハクが開けると意味を理解する。

貴「あっ。それは私が･･･」

ﾊｸ「いや、白蛇にさせる。白蛇、口開けろ」

貴「キジャに？悪いよ」

ｷｼﾞｬ「何の事だ？」

ﾊｸ「いいから口開けろ」

ハクは重箱の中から食材を一つ摘むとキジャの口に入れた。

ﾊｸ「どうよ？」

ｷｼﾞｬ「なかなか美味だが？」

ﾊｸ「よし、姫さん食べれますよ」

ｷｼﾞｬ「毒味か!!」

貴「ははっ･･･」

ﾖﾅ「わあ、嬉しい。ありがとう！」

食材の入った重箱を見て姫様が笑顔を浮かべるとテジュンは顔を真っ赤にする。

ﾖﾅ「皆並んでー。少しずつだけど、これはアワビといってとっても美味しいものですよー」

ﾃｼﾞｭﾝ「姫っ！それは姫に差し上げようと･･･」

ﾖﾅ「皆、朝から殆ど食べてないから助かるわ」

ﾃｼﾞｭﾝ「･･･っ」

貴「これが現状よ。先日ゼノに会ったそうね、その時わからなかった？本当に食事が行き届いてないのよ」

ﾃｼﾞｭﾝ「姫は･･･っ、十分なお食事をなさっていないのではないですか？」

ﾖﾅ「私はいいの、元気だし。贅沢なら小さい頃一生分やったもの｣

ﾃｼﾞｭﾝ「それは･･･」

ﾖﾅ「あの頃贅沢してた物、捨てた物をここに持って来れたら･･･そうしたらもっと平等な国を造れたかしら？･･･なんてそんな簡単じゃないって事もわかってきたけど」

｢おじさん」

テジュンの服を引っ張るのは痩せ細った村の子供、手にはお皿を持っている。

｢僕の･･･母ちゃんの分のご飯ありませんか？」

自分もお腹を空かせてるだろうに母親の分を取りに来たようだ。

ﾃｼﾞｭﾝ「持って来たのはあれだけだ、他は･･･ない」

落ち込む子供、お腹を鳴らし背を向けるとテジュンは肩を掴み引き止めた。

ﾃｼﾞｭﾝ「ま、待て！水だ」

｢お水？ありがとう」

自分が持っていた水を手渡すテジュン。

ﾃｼﾞｭﾝ「今はこれしかないが、あ、明日はお前の母親の食事も持って来てやるから」

｢ほんと？」

ﾃｼﾞｭﾝ「あ、ああ」

テジュンの言葉に子供は嬉しそうに走って行った。