高華の不死鳥第四章 (ページ45)

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第187話火で火は消えぬページ45

───ダンダン、ダン、ダン。

村に不気味な音が響いてくる、その先には兵士の数を表す大量の灯りが灯されている。

ユンは不安気に音がする方向を見つめた。

ﾕﾝ「何の音？」

貴「威嚇の足踏みよ」

ｷｼﾞｬ「来るなら来い」

ﾃｼﾞｭﾝ「ごっ、ご安心を、姫っ。
私が今、止めに行きますので････っ」

ﾖﾅ「ええ、見ているから誠意を示して」

笑いかけた姫様の姿に顔を真っ赤にしているテジュン、どこから見ても喜んでいる。

貴「どうしたの？シンア」

ｼﾝｱ「火矢だ」

ｷｼﾞｬ「何!?」

ハクと私を先頭にキジャ、ゼノの二人がヨナ、ユン、そしてケガをしているシンアを背に隠した。

ｷｼﾞｬ「姫様、お下がり下さい！」

貴「ユンも下がってて。シンアもなるべく動かないでっ」

ﾃｼﾞｭﾝ「姫っ、信じて下さってありがとうございました･･･!!」

走りながら一度振り返ったテジュンは姫様に言葉を伝えると全速力で火矢が降り注ぐ中を走って行く。

あの人を見逃す事に100%賛同してる訳ではない、しかしケガ人を出さずに済むのならそれが一番いい。

火矢が降ってくると剣を振りかざすと風圧で火を一気に消せば地面に斬り落とす。

さて、テジュン。

姫様に見せてくれるんでしょ？貴方の誠意とやらを･･･。

ﾃｼﾞｭﾝ「おおおぉぉぉおぉお！」

｢──待て、今人影が見えなかったか？賊かもしれん、構え｣

ﾃｼﾞｭﾝ「ま･･･て、討つ･･･な」

『テジュン様!?』

｢テジュン様、一体･･･!?ひどい火傷だ、兵舎までお運びしろ｣

｢テジュン様、賊から逃げおおせたのですか!?」

ﾃｼﾞｭﾝ「････違う。皆･･･よく聞け、加淡村に今賊はいない」

｢えっ、しかし狼煙が･･･っ」

ﾃｼﾞｭﾝ「それについては手違いがあって･･･狼煙は誤って上げたのだ･･･」

｢ええ!?いや、だとしても賊はあの村に･･･」

兵の言葉をテジュンは遮った。

ﾃｼﾞｭﾝ「それらしき奴はいなかった！疑わしいだけで村を攻撃することはなかろう！手違いで騒ぎを起こしてしまい、すまない･･･」

火矢は飛んで来なくなると灯りがポツポツと消えていく。

ｼﾝｱ「帰ってゆく」

貴「行ったね」

ｷｼﾞｬ「あの者は本当に大丈夫なのでしょうか？」

ﾖﾅ「たぶんね。彼が狼煙の時みたいにうっかりをやらなければね｣

ﾕﾝ「それ、やりそう」

そう言ってユンは苦笑いを浮かべた。