高華の不死鳥第四章 (ページ38)

今日:6 hit、昨日:28 hit、合計:295,249 hit

第180話逝きたがりのテジュン様ページ38

暗黒龍とゆかいな腹へり達の縄張りとしている加淡村、そこにまた兵を引き連れた役人がやって来る。

｢家の中も調べろ！怪しい者がいたら連れて来い｣

｢何をするんですか、やめて下さい｣

｢どけっ！｣

｢きゃあ｣

ﾌｸﾁ「･･･品がない」

物が割れる音、荒い役人の声、村人の悲鳴が村中に響き渡る。

乱暴に村に入る役人達、その姿に我慢ならず涙を浮かべた子供は小石を拾うと役人に向けて投げつけた。

｢出ていけっ！加淡村から出てけっ｣

ﾕﾝ「ダメだよ、隠れてなきゃ！(やばい、あの身形かなり身分の高い貴族だ。･･･殺される)」

子供を抱き締め庇い立つユン、貴族を前に息を飲んだ。

ﾃｼﾞｭﾝ「生まれてきて、すみません････」

ﾌｸﾁ「ちょっとこの人、今傷つきやすいからいじめないで」

ﾕﾝ「(泣いた!?)」

｢ご････ごめんなさい｣

ﾌｸﾁ「無理もないよ。時々おじさんも石投げたくなるから」

ﾕﾝ「なんだ、この会話」

｢どうしたの？｣

ﾕﾝ「ねえ隠れようよ、なんかめんどくさいよ･･･」

ﾌｸﾁ「まあ簡単に言うと恋煩い、みたいな」

ﾃｼﾞｭﾝ「誰が恋煩いだッ！そんなんじゃない･･･っ。恋とか、そんなチャラチャラしたものと一緒にするな！この想いは･･･この想いはっ、もうなんなのか自分でもわからん──！！わあああ」

ﾕﾝ「本格的にめんどくさいよ」

ﾌｸﾁ「この人の話、聞いてやって。おじさんの代わりに」

ﾕﾝ「やだよ。･･･俺らは毎日の食糧もやっと確保してんだ、もうこれ以上税は払えないから帰って」

ﾌｸﾁ「納税は民衆の義務だよ」

ﾕﾝ「貴族の贅沢や必要以上の軍備の為に過大な税を払うのが義務？その前にこの食糧不足と病人達を何とかするのがそっちの役割なんじゃないの!?」

ﾌｸﾁ「軍備を整えるのも火の部族を守る手段だよ」

ﾕﾝ「詭弁だね」

ﾌｸﾁ「･･････ま、いいや。私は税を取りに来たじゃないから、賊を捕らえに来たんだ」

ﾕﾝ「賊･･･？」

ﾌｸﾁ「知ってる？何かおなかすいてる賊、みたいな名の･･･」

｢──ありました！賊が強奪した税です!!やはり隠し持っていたな!!賊達も匿ってるんじゃないのか!?」

｢ちっ、違います」

ﾕﾝ「賊を捕らえに来たって言ったよね？
じゃあそろそろ、お仕事の時間じゃないの？」