高華の不死鳥第四章 (ページ31)

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第173話暗黒龍とゆかいな腹へり達ページ31

｢暗黒龍とゆかいな腹へりー」

｢賊が出たぞ、退治しろーっ」

貴「えっ!?君達、ソレは危ない！」

ｼﾝｱ「！」

突如現れた2人の子供、シンアの剣をとるとあっという間に逃げ去ってしまう。

貴「見失った･･･子供って、何てすばしっこいの」

ｼﾝｱ「A･･･ごめん」

貴「シンアのせいじゃないよ、私も油断してたわ。でも怪我するといけない、急いで探しましょ」

ｼﾝｱ「･･･うん」

その時、微かに聞こえた悲鳴に眉をピクっと動かすとある方角を見つめた。

貴「シンア、今の･･･」

ｼﾝｱ「････」

シンアが頷くと同時に悲鳴の聞こえた元へ急ぐ、すると段々と何が起こったのか見えてくる。

貴「なるほど、本物の賊か」

｢食い物あるだけ奪え！役人が来ると面倒だ、早くしろ」

頭だろう、中心で指示を出す男･･･ソイツの肩に担がれた女性の髪が揺れた。

燃えるような赤い･･･髪ッ。

全身の血が沸騰するように体は熱く、瞳孔が開くと気づいた時には目の前にいた賊が血を流し倒れていた。

貴「誰に･･･触れているッ」

ｼﾝｱ「ぅ･･･ぅう、うわあぁあああ！！」

貴「！」

シンアの声にハッと我に返ると剣をもう一度強く握り締め、賊を切り倒して中心に突っ込んでいくシンアに顔を向けた。

貴「シンア！」

族の顔を鷲掴みにして投げ飛ばすシンア、威力は圧倒的だが剣を子供に奪われたシンアは丸腰だ。

｢な･･･何だ？あの仮面男は」

｢野郎･･･っ」

シンアに殴り掛かる賊を蹴り飛ばせば、周りの賊を一振りで突風が起きたように吹き飛ばす。

｢女か!?何て威力･･･只者じゃねェな」

ｼﾝｱ「ヨナを、その人を、返せ」

｢この女の仲間か」

｢男は丸腰だ、とっとと殺れ。女は捕まえろ」

賊は向かって来るが足止めにもならないぐらい弱い。

剣を振るうと目を見開き、舞い散る赤い血飛沫が視界に映る。

｢おい強ぇぞ、あいつらこの辺のもんじゃねェな」

｢この女もな。色ツヤが良いし、あの女も上玉だ。手練かもしれんが、丸腰じゃ時間の問題だろ。女も捕まえればこっちのもんだ」

殴られ、蹴られ出来た隙、シンアは腹を剣で刺されるとその場に倒れていく。

貴「シンアっ!!」

腹部を刺された･･･ッ、剣も抜かれてるマズイ。

まだ賊はいる、私一人でも制圧はできる･･･が、制圧してからの手当てじゃシンアの命が危ない。

唇を噛み締めると敵に背を向け、剣を鞘に納めるとシンアの刺された箇所を圧迫して止血を試みた。