高華の不死鳥第四章 (ページ28)

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第170話暗黒龍とゆかいな腹へり達ページ28

ハクは目立つ大刀ではなく斧を手にし、顔を隠す為に藁笠を･･･私は外套のフードを目深に剣を構えた。

ﾖﾅ「そこの役人(クズ)共！止まりな！」

他の村から取ったのだろう、役人の列に並ぶ荷車には野菜や米が乗っている。

｢誰だっ⁉︎」

ﾖﾅ「ここいら一帯は私らの縄張りとなった。命がほしけりゃ有り金全部置いていきな！」

｢賊か？大した人数じゃなさそうだな」

｢おい、とっとと片付けろ」

ﾖﾅ「よく言ったね、クズ共。目ん玉ひんむいてよく見な！私ら暗黒龍とゆかいな腹へり達の恐ろしさをね！」

──そもそも事の起こりは3日前。

加淡村に来た役人達を追っ払った後、私と姫様はある提案を持ち出した。

貴「一生に一度くらい賊になる事があっても面白いわよね」

ﾖﾅ「そうね、一度くらいはいいかも」

ｼﾞｪﾊ「Aちゃん、ヨナちゃん。君達はちょっと前、海賊の仲間だったじゃないか」

ﾖﾅ「あ、本当ね」

貴「じゃあもう何でもいいか」

ﾕﾝ「何その転職するみたいな軽さ」

ﾖﾅ「名乗ったからにはやるしかないわ」

ﾕﾝ「何バカ言ってんの！早く逃げるよあいつら絶対また来るって！今度は兵を大勢連れて」

貴「いいじゃない。大勢で来てもらわなきゃ相手にならないわ｣

ﾊｸ｢「確かにな」

ﾕﾝ「そういう問題じゃ･･･」

ﾖﾅ「火の部族はこんな村がたくさんあるでしょ？」

ﾕﾝ「･･･そうだよ」

ﾖﾅ「そしてどこも貧しくて税が重い」

ﾕﾝ「･･･うん」

ﾖﾅ「私達が手の負えない賊となって縄張りを広めていく。そうすれば不当に重い税を課せられた住民達を守れるわ」

ﾕﾝ「そんな簡単な問題じゃないよ！徴収が滞ればさらに厳しい取り立てになるし、しばらくは何とかなっても下手すると採火城の兵が動くよ！」

ﾖﾅ「いつでも来ればいい。危険を避ける為、痩せた子供や病人を見捨てるなら本末転倒。それに私負ける気がしないの、皆がいれば」

姫様の言葉に私達は誇らしげに口元に弧を描いた。

ﾊｸ「モフモフ返す、前が見えね」

ｼﾝｱ「あったかい･･･」

ﾕﾝ「でも･･･っ」

貴「ユンならわかるでしょ？どう動けば効率よく役人に圧力をかけられるか。私達を使ってみせて、ユンっ」

そう言われるとわからないとは言えない、言葉を詰まらせたのはユンのプライドがあるからだろう。

ｾﾞﾉ「まとまったところで、暗黒龍とゆかいな腹へり達の旗揚げだーいっ」

ﾕﾝ「まずその名前に圧力がないよ！」