高華の不死鳥第四章 (ページ25)

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第167話悪目立ちページ25

慌てた表情のユンは姫様を連れて、私達の元へ急いで来る。

ﾊｸ「何か来たぞ」

ﾕﾝ「隠れて！隠れて！」

貴「どうしたの」

ﾕﾝ「役人が来たんだよ、兵士連れて。ヤバいから絶っ対あんた達出て来ちゃダメだからね」

私達を隠そうと手を広げたユン、その隙間から顔を出して見る。

ｼﾞｪﾊ「役人？」

ﾊｸ「へー、どれどれ」

貴「何？とりあえず潰す？」

ﾕﾝ「顔出すな珍獣！Aはサラッと怖いこと言わないっ!!」

その瞬間割れる音が激しく響き、ユンと姫様は体をビクッと跳ねらせて目を丸くした。

｢払えないですって？また滞納する気ですか？」

ｾﾄﾞﾙ「申し訳ありません、今年は米の収穫は少なく我々が食べる分すらままならぬ状態です。その上の増税は･･･」

｢黙りなさい」

役人は膝をつき頭を下げるおじさんの頭を踏みつけ、慈悲もない言葉を続けた。

｢払えないのなら子供を売り払いますよ」

ｾﾄﾞﾙ「そ、そんな！」

草むらに隠れる私達、しかしアレを黙って見てられるはずもない。

ﾕﾝ「！(キジャとAが戦闘態勢!!)｣

般若の顔のキジャは鋭く尖る爪を光らせ、私は背に手を伸ばすと、カチャと剣を抜いて眼を細めた。

ﾕﾝ「お、落ちついてキジャ！A！剣出したらヤバいって。キジャはその手で出てったら何もしなくてもしょっぴかれるから！ねぇっ、ヨナっ」

同意を求めるように姫様に顔を向けたユン、しかし姫様は先程から弓を出し怒りのオーラが滲み出している。

ﾕﾝ「(えっ、弓!? もう弓出しちゃってる!?)｣

───ゴォオオオオ

ﾕﾝ「ヨ･･･ヨナ、ダメだからね？ヨナが見つかるのが一番ダメなんだからね!?ここは地の部族より危険なんだよ」

｢トルバル殿、ここに食料が」

ﾄﾙﾊﾞﾙ「何だ、ちゃんとあるじゃないですか。米はないみたいですが･･･まあいいでしょう、これを運び出して下さい」

ｾﾄﾞﾙ「そ、それは」

あれはユンがこの村の為に精一杯かき集めた食料、それを止める様に役人の足に子供がしがみつく。

｢だめっ！それはユンが私達に持ってきたものよ」

｢どけ邪魔だ」

ﾄﾙﾊﾞﾙ「丁度いいじゃないですか。その子も連れて行きましょう、足りない税はその子を売り払って補いましょう」

ｾﾄﾞﾙ「どうかお許しを！何も知らない子供ゆえ」

懇願するおじさんに対し、役人は躊躇いもなく暴力を振るう。

｢お父さん、いやああっ！はなして」

ﾄﾙﾊﾞﾙ「嫌なら米か金か用意しなさい、行きますよ」