高華の不死鳥第四章 (ページ24)

今日:12 hit、昨日:12 hit、合計:295,267 hit

第166話悪目立ちページ24

凍りつくような水で皿を洗い、吹き付ける冷たい風に姫様は体を震わせた。

ﾖﾅ「･･･っつ」

ﾕﾝ「冷たいでしょ、嫌なら帰っていんだよ」

貴「私がやっておきましょうか？」

ﾖﾅ「へ、平気･･･つ、冷たいくらい。死ぬわけじゃないし」

そう言いながらも姫様はカタカタと体を震わせる。

ﾕﾝ「Aは平気そうだね」

貴「風牙にいた時、じっちゃんに散々川で洗濯させられたからね･･･」

遠くに視線をやり、ため息を溢すと村に目を向けた。

貴「この村はユンの生まれた村？」

ﾕﾝ「ううん。ここは物々交換をしていた人達の村なんだけど最近は交換する物もない位生活に困ってて、今は俺が時々薬や食料を届けてるんだ。

一日分の食料を届けても明日の分はない、もっと根本から変えなきゃダメだけど俺にはどうしようもない」

ユンは一度手を止めると屋根を修理しているハク達に下から声をかけた。

ﾕﾝ「おーい、雷獣達。そろそろご飯だから降りてきなよ」

ﾊｸ「俺ぁいいわ、さっき川で魚を山程捕まえても食ったから｣

ﾕﾝ「え、何それ。たくさん捕まえたなら皆にわけてよねっ」

ﾊｸ「悪ぃ悪ぃ」

ﾕﾝ「ったくもー」

口を尖らせるユン、ハクを見ればクスッと笑った。

この辺に川なんてないのにわかりやすい嘘を。

ﾕﾝ「あ、キジャ。ご飯だよ」

ｷｼﾞｬ「私もハクと共に魚を馳走になり腹一杯だ」

凛とした顔でぐぅ〜っと鳴るキジャのお腹の音。

ﾕﾝ「鳴ってるよ、思いっきり鳴ってるよ」

ｷｼﾞｬ「こここれは私の腹の音ではなくてだな、どこかで雷が」

ﾊｸ「てめぇの音だろ、白蛇」

ハクは縄を投げつけるとキジャは声を荒らげた。

ｷｼﾞｬ「ぶ、無礼者、何をする！」

ｼﾞｪﾊ「ぶくくくく」

ﾊｸ「修行が足りねーんだよ、腹の虫を止める修行が」

ｷｼﾞｬ「腹の虫を止める修行だと!?」

ｾﾞﾉ「腹のあたりに力入れるといいから」

ｷｼﾞｬ「こうか？」

お腹の音を止めるといいながら2人のお腹は大合唱を始める。

ｷｼﾞｬ「鳴るではないか！
というかそなたも鳴っているではないか」

ｼﾞｪﾊ「あはっ、はははは！かわいい！君達かわいい」

ｷｼﾞｬ「ジェハ笑いすぎだ！」

ﾕﾝ「もーバカばっかり。Aとヨナは食べるよね」

貴「私達もお腹一杯･･･｣

言い終わる前にお腹が鳴ると私達の間に沈黙が流れた。

ﾖﾅ「･･･聞こえた？」

ﾕﾝ「うん、聞こえちゃった」

私達は顔を見合わせれば笑い声をあげた。