高華の不死鳥第四章 (ページ3)

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第145話誓いの朝ページ3

ｷﾞｶﾞﾝ｢あんたもだよ。早く覚えな、無鉄砲だけが取り柄なんて嫁のもらい手がないからね」

ﾖﾅ「余計なお世話！」

ﾊｸ「問題ないでしょ、ヨナ様が山で芝刈りしてる間に川で洗濯をしてくれる旦那見つければ｣

ﾖﾅ「ハクは黙ってて！」

ﾊｸ「で、A。お前は一人でも生きていけるだろ。たくましく生きるんだぞ」

貴「ウン、わかった･･･って、ならないからっ。そこは兄として妹の行く末を祈ってよ、諦めないで｣

ﾀﾂ「Aちゃん、ヨナちゃん
阿波の料理は魚焼ければ大丈夫だから」

ﾏﾔ「行くとこなかったら俺んとこ来な」

ﾖﾅ「行きませんっ。もう失礼なんだから、出発！｣

貴「はははっ。じゃあお世話になりました」

ｷﾞｶﾞﾝ｢ああ、お待ち｣

背を向けた姫様、一言残して自分も背を向けようとした時船長に声をかけられ振り返った。

ｷﾞｶﾞﾝ｢持っていきな」

貴「巾着･･･？」

巾着袋の中を見れば、そこにはたくさんの千樹草。

これはとても貴重な物なのに･･･船長の優しさ、思いをギュッと詰め込んだようだった。

ﾕﾝ「おお、千樹草！助かる～」

貴「こんなに････」

ｷﾞｶﾞﾝ｢風邪ひくんじゃないよ」

優しく静かに微笑んだギガン船長は私と姫様の頭を最後に撫でた。

ﾀﾂ「なんか船長、母ちゃんみたいだなぁ」

そしてお別れの時。

ﾖﾅ「･･･それではお世話になりました」

私は頭を下げると背を向けて皆と歩いて行く。

｢ばいばーい、Aちゃん！ヨナちゃん！
また来いよー！」

ﾖﾅ「･････」

ﾕﾝ「ヨナ？」

足を止めた姫様、次の瞬間には泣きながらギガン船長の元へと走りだしていた。

貴「･････」

ﾊｸ「ほら、我慢せず行ってこい」

バシっと力強く叩かれた背中、顔を上げると我慢していた涙をボロボロと溢しながら頷いた。

貴「ッ･･･うん」

背中を押してくれたおかげで足を踏み出せた。

勇気の一歩、その後は船長に向かって足を何度も踏み込ませ飛びつくように抱き着いた。

ｷﾞｶﾞﾝ｢！･･･｣

私と姫様がギガン船長に泣いて抱き付けば、船長は驚くが優しく抱きしめてくれた。

母親のように厳しく、優しく、私達に接してくれた。

そんなギガン船長と離れるのは、悲しくて寂しくて涙がとまらない。

私達はギガン船長の胸の中で、まるで小さな子どものようにたくさん泣いた。