高華の不死鳥第四章 (ページ18)

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第160話これからページ18

ｾﾞﾉ「ま、ゼノにはそんな力ないけどネッ」

ｷｼﾞｬ「そなたは～」

ｾﾞﾉ「新参者がすまぬーすまぬー。別にゼノはそうしろって言ったわけじゃないから、どうするのかなって素朴なギモンだから。

ゼノついてきたのはゼノの勝手だし、娘さんも自由に考えていいから」

ﾖﾅ「････」

ｾﾞﾉ「それよりゼノお腹すいたー」

ｷｼﾞｬ「そなた忙しないな」

ﾕﾝ「･･･とりあえずご飯にすっか」

ｾﾞﾉ「わーっ、めしめしー♡」

外へ出たゼノを除いた四龍に私とハク、日が傾くと私達の影が真っ直ぐに伸びていく。

ｼﾞｪﾊ「しかし驚いたね、ゼノ君には。
ヨナちゃんにああいう切り込みをするとは」

ｷｼﾞｬ「私も考えないではなかったが父上を亡くされてまだ日も浅い。ご自分を守るのがやっとの姫さまには
重過ぎる問いだった」

ｼﾞｪﾊ「ただ親の仇をとるだけとは違う。玉座を取り戻すという事は、王に従う五部族を黙らせこの国の全てを背負うということ。たった16の女の子にはあまりにも無謀だ」

ｷｼﾞｬ「ハク、A、そなたら王と知り合いなのだろう？どのような人物だ」

ﾊｸ「･･･さぁな」

ハクは一言残すとその場を去っていく。

ｷｼﾞｬ「相変わらずスウォンについては何も喋らぬな。A、そなたはどうだ？｣

顔に影を落とすとキジャを一瞥し、目を一度伏せた。

貴「国王を弑逆し、王位を簒奪した人間･･･それだけよ｣

そのまま背を向けると体に提げた剣の紐を取り、鞘を手に握り森の中へと去った。

ｷｼﾞｬ「スウォンの事になるとあの穏やかなAもピリつくな」

ｼﾞｪﾊ「気づいてる？その名を出す度ハクとAちゃんの顔が少し翳るんだ」

ｷｼﾞｬ「よほど憎い相手ということか」

ｼﾞｪﾊ「いや、よほど情がある相手だったんだよ」

───
─

剣を振るえば、風を斬る音が静寂な夜の中響く。

もう何度この剣を振り下ろしたかわからない、額にじむ汗が頬を伝って地に落ちていく。

貴「ッ･･･」

ぐっと足に力を加え地面を蹴って跳躍すると同時に体を大きく斜めに回転させる。

その勢いのまま剣を一振りすれば目の前にあった木は大きな音を立てて切り倒された。

貴「っはァ･･･はぁ」

木が倒れた衝撃で砂埃がたちこめ、葉が空を舞う。

許せない、許せるはずがない･･･っ。

兄のように慕ったスウォンはもういない、情はいらない、捨てろ･･･許すな。

貴「国王殺害になろうと･･･私がっ、この手で」