635話 ページ16
ｻﾎﾞ「あの時、ハルクという名の兄弟のことは聞いていたが、まさか･･･コイツだったとはな｣
貴「えぇ。死神の名を聞いた時から･･･もしかしてとは思ってたんだけどね」
今、何を考えているのか･･･目的を見失ったように呆然と立ち尽くすハルク。
胸に手を当てると語りかけるように口を開いた。
貴「ハルク、海軍が･･･憎かったよね。
大切な人を奪われたんだ、許せるわけないよね」
ﾊﾙｸ「そうだっ。ボクらは散々苦しめられ、怯えて生きてきた。あいつらはボクから全てを奪ったんだッ｣
貴「だから、海兵殺しを･･･」
ﾊﾙｸ「そうだよっ･･･。権力を振りかざすだけの海軍なんていらない、次はボクの番なんだッ･･･！」
感情を表に出したハルク･･･その気持ちが、心の声が痛いほど伝わってくる。
大切な者を奪われる悲しみ、苦しみ、憎しみ･･･そして怒りを、私は知っている。
ｻﾎﾞ「A？」
貴「ッ･･･｣
顔を俯かせ握り締めた拳を震わせると立ち尽くす彼に向けて手を伸ばした。
貴「ハルクっ──」
名を呼ぶと同時にハルクの体を優しく抱き締めると伏せた目から涙を溢した。
貴「ごめん、ごめんねっ。
もっと早く･･･っ、駆けつけていれば｣
ﾊﾙｸ「どうして、Aが･･･泣いて･･･？｣
貴「あなたを思うと胸が痛いのっ。あなたが苦しんだ時、こうして･･･抱きしめてあげたかったっ｣
ﾊﾙｸ「もしかして･･･ボクのために、泣いてるのっ？どうして･･･ボクはAを消そうとさえしたのにっ」
鼻をすすりながら顔を上げると腕で目をゴシゴシと拭い、首を傾げて笑って見せた。
貴「そんな事あったかしら？私達はただ鬼ごっこしてただけでしょ。そうよね、サボ？｣
顔を振り返らせると腕を組んでいたサボは、頭を掻いて目を伏せると息を一つ吐いた。
ｻﾎﾞ「ああっ。大の大人がこんな夜中に、何やってんだって話だよ･･･ったく｣
貴「ふふっ。久しぶりの鬼ごっこ、楽しかったわ。そうだ、あなたに渡す物があるの」
ﾊﾙｸ「ボクに･･･？」
懐に手を伸ばすと一枚の紙を差し出した。
貴「あなた宛ての手紙よ。ヒナタから預かっていたの｣
ﾊﾙｸ「これ･･･ヒナタが？」
手紙を受け取ったハルクの手紙を見つめるその優しい眼差しは死神なんかじゃない兄の顔だ。
口元を微笑ませるとハルクの背に手をまわした。
貴「ハルク、これ以上、自分を偽らないで。
あなたを待ってる人がいるわ｣
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白花(プロフ) - 皆さん、コメントありがとうございます！！一人ひとりにお返事が返せずに申し訳ありません。しっかりとコメントは一字一句もらさず見ております、何度も！カメさんペースの更新の中、読んで頂きありがとうございます。とても励みになる温かい言葉に嬉しくなりました！ (5月24日 17時) (
レス) id: f936ecd47d (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 更新ありがとうございます!いつも読ませて頂いています。内容がとても面白いです。新世界編ではどんな感じに話が進んむのか気になりますね。続きがんばって書いてください!応援しています! (5月22日 19時) (レス) id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)
Keiko03090407(プロフ) - めっちゃ続き気になる(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o)))楽しみに待ってます (2022年12月10日 22時) (レス) @page33 id: 0dc3919b36 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 面白かったです!一気読みしました。このあとどうなるのか気になります!続き楽しみにして待っています!頑張って書いてください!応援しています。 (2022年9月4日 0時) (レス) @page28 id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)
あい - 本当に文を書くのが上手すぎて、一気に読んじゃいました！！これからも応援しています (2022年6月12日 14時) (レス) @page27 id: 86690bee99 (このIDを非表示/違反報告)
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