協定を破るには ページ2
NOside
彩が若武の家に来る前。先に来ていた彩以外のメンバーはある会議をしていた。
そう、それは…。
「俺さ、良いこと思い浮かんだんだ。」
美門は手にドーナツを持ち不敵に微笑みながら言った。
「ん?何だ?」
同じくドーナツを持った若武が美門に目を向けながら疑問をぶつける。
対する美門は面白そうに、でも本当に嬉しそうな顔をして言うので全員が気になった。
「俺、アーヤが好き。もうずっと心の友以上になりたいってずっと思ってた。でもKZにいる限り協定を破る訳にはいかない。だから俺、KZを解散したらどうなのかなって思ったんだ。」
言い終わると同時にはぐっとドーナツを噛じる。その出来た隙間から真横にいる若武を見ながら美門は良い案でしょと言う。
若武はその案にうーんと悩む素振りを見せた。
「僕だってアーヤが好きだよ。だけどKZはアーヤの生き甲斐でもあるんだよ?解散なんてしたらアーヤがきっと悲しむ。」
小塚の言い分を確かにもっともだ。
彩はKZを生き甲斐と言うほど大事にしている。自分達の欲望だけで解散なんてしたら彩の心に深い傷をおわす事になってしまう。
きっと泣いてしまうだろうと思う小塚の心にそれは良い案だ、と呟いた黒木が追い打ちをかける。
「簡単だ、俺達の誰かが慰めれば良い。今ここにいる全員はアーヤの事が好きだ。誰かがアーヤの心を射止める事が出来たらきっとKZを無くした悲しみも埋めれる筈だ。どうする小塚先生?」
その言葉に小塚はうぐっとなる。
そして僅かに残っていた可哀想だという思いは呆気なく散った。
「分かった、僕も賛成するよ。」
小塚の賛成に若武は意外に思ったが若武自身の残った良心も散ったのか先程の悩みもどうしたというぐらいあっさりと賛成した。
「残ったのは、七鬼と上杉だけだ。どうするんだ?」
未だにドーナツを食べている七鬼に目を向けると七鬼はドーナツを口に含みながら喋った。
「俺も、立花の事、好き、だ!」
間に一つ一つ開けて言うので若武がちゃんと飲み込んでから言えと言う。
ゴクッと飲み込むとさっきとは正反対に流暢に喋った。
「俺も立花の事好きだ。アイツが俺を外に出してくれなかったら俺は今もネットの世界で一人だ。アイツを他人に任す事なんてしたくない。だから、俺がアイツと一緒にいたい。」
それはまさしく宣戦布告。
お前らに彩は渡さないと言っているのだ。
その言葉に心の中で眠っていた彩への独占欲が全員に湧き出た。
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未胡成(プロフ) - ヤンデレきたぁぁぁぁ!!!ありがとうございます!ありがとうございます。ありがとうございます。応援してます! (2020年3月31日 23時) (レス) id: 1aec104bc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:永久 | 作成日時:2020年3月30日 15時