嫌よ嫌よも好きのうち《 Shoma.Uno 》 (ページ13)

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昌磨.

「うわあ、人……」

「そりゃ集まるわよ。ほら、シャキッとする！」

美穂子先生のその言葉に、多少は背筋を伸ばしたけど……でもまた欠伸が零れ落ちた。
それのせいで滲む涙とマスコミのそのまた向こうに、Aと満知子先生が見えた。

軽く手を振るAを見て、ほんの少し安心した。帰ってきたんだ、そんな実感がわいた。

『おかえり』

「ただいま」

「珍しいわね、Aがお出迎えなんて」

『満知子先生の提案ですから。他意はありませんよ』

「あらまあ」

からかうようにAの背中を叩く満知子先生。流石に恥ずかしいのか顔を赤くするAは、「とにかく」と俺を見る。

『おめでとう。……凄かった、本当に。まさか銀メダル獲っちゃうなんて』

「ありがと。まあ……俺もびっくりしてるけど」

『でもそれが昌磨の実力なんだから。何も予想外の結果じゃないよ』

「……そう」

たまに優しくなるコイツの言動には、どきりとさせられる。ここで二人して赤面してたらそれこそ週刊誌に撮られるから……そう思って俺だけでも、と堪えた。

「銀メダルかけさせて」と珍しく甘えてくるAにそれをかけてあげると、嬉しそうに目を細める。「次は私がこれよりいい色獲るから」なんて、Aらしい強気な言葉を添えて。