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貴方.
「どうか私のそばにいてください、姫。」
そう言って私に跪く瑞生は、
お芝居をしているからかいつもよりキラキラしていて
私もそれに全力で答えたくなった。
そっと控えめに頷けば
繋がれた手が引かれ、瑞生の腕の中に収まる。
『……ずっと、お慕い申しておりました』
静かな空気を切り裂くように、
監督の声が響く。
緊張の糸が切れ、
瑞生にもたれかかった。
昔のラブシーンって難しい……
『疲れた……』
「近い」
『いいじゃん今更……チャグム様、』
「姫はそんな甘えん坊じゃないから」
『こんな私も好きでしょ』
ふざけながらそう聞くと、
ピタリと動きが止まる瑞生。
えっ……
そんなに嫌い??
軽くショック受けてるよ。
「好きっていうか、大好き」
『……え?』
「チャグムは思ってるよりも独占欲強いから」
『えっ、ちょ、ん?今のチャグムの気持ち?』
「撮影の間は、覚悟しとけよ」
そう言って私の頰に手を添えた瑞生は、
周りから見えないように額に唇を当てた。
それがキスだと理解するのに
かなりの時間を要した。
……リアルキス。
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ゆの - 紅一点のお話好きです!!楽しみにしてます(*''▽'') (2017年12月6日 19時) (レス) id: a7ff08367a (このIDを非表示/違反報告)
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