ファッションオタク【 海月姫 】

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貴方.



私は、平凡だから、地味だから、

きらきらしたドレスは着てはいけない。


可愛いものは、美しいものは、
全てそれ相応の人のために作られていて

その他大勢の私には関係のないもの。



だから、せめて眺めるだけは……許して……






『……！』






懐かしい夢から目が覚めると、

心地よい温かさに包まれているような安心感。


甘くていい匂いがする背中は、
女の人のはずなのにたくましくて

心が安らいでいく。






『く、らこ……さん？』


「おう、起きたか。体調はどう？」


『もうすっかり平気です、すみません。

下ろしてもらって大丈夫なので……』


「天水館まで送る。

いいから少し寝てろ、」






運転手さんの車に乗ってきたはずなのに、

長いこと蔵子さんの背中に乗っているような気がする。


ふわふわと宙に浮くような感覚に、
いつの間にか強張っていた気持ちは柔らかくなって

蔵子さんの背中にくっついた。






「っ、」


『あったかいなあ』


「A」


『蔵子さん、ありがとう……』






気付けば眠りに落ちていて、

嫌な記憶も今は心の奥底に帰ってくれた。

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