ファッションオタク【 海月姫 】

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貴方.



「A！下向かない！まやや！手上げない！」

『むっ、無理ですよ！』

「これが俺のスタイルなのだ！文句を言うなぁ！」




ショーの準備は着々と進み、私とまややちゃんは蔵之介さんにモデルとして指導されていた。
ずっと姿勢を気にしていなくちゃいけないし、本番はきっと緊張するだろうし……
嫌すぎて落ち込む私たちを、「頑張って！」と励ます蔵之介さん。無理ですよお……




「ほらA！可愛い顔が台無し！顔上げて！」

『そんな上手いこと言って……』




半泣き状態の私を見兼ねた蔵之介さんは、「もう」と立ち上がって私の前に仁王立ちした。
何されるんだろう、と怖くなってまた俯く私を見て、ため息をつく蔵之介さん。




「……ほら、俺の目を見て」

『っ、！』

「怖くないから、大丈夫。目の前には俺しかいないんだ。誰もいない、」




蔵之介さんの澄んだ瞳を見つめると、「やれば出来るじゃん」と笑ってくれた。
正直ドキドキしすぎて練習どころじゃないけど、とりあえず前を向くことには成功した。

……ああいうのは、心臓に悪い。

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