ファッションオタク【 海月姫 】

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貴方.



『私、中学生のときからファッションオタクなんです。そのときはまだ服を着ることも好きでした、』






多感な時期に、

自分の趣味ばかり押し通すと
あまり良くないんだろうな。


大人になった今なら、

ちょっとだけそう思える。






『初めてお付き合いした男の子がいて、彼は私のセンスが好きって言ってくれたんです。

似合ってるし、Aにしか着れないって』


『……私、それが嬉しくて舞い上がっちゃったんです。

気にせずに好きな服を着てました、本当に』






だからかな、

バチが当たったのか。






『あるとき街を歩いてたら、彼を見つけて。

オシャレしてたから、話しかけようと思って近付いたんです。そしたら……同じクラスの女の子と抱き合ってて』


『……本気にすると思った？なんて笑われたんです。

可愛くもないのに、綺麗でもないのに、素敵な服を着て……調子に乗ってました。』


「そんなこと、」


『ありますよ。私なんかが輝いたらダメなんです。

ヒロインは初めから決まってました。』






話し終えたときには、

目には涙が滲んでいて
耐えられずに顔を押さえて泣いてしまった。


いつもなら独りで泣いていたのに、

蔵子さんがいてくれて
そして私を優しく抱き締めてくれる。



それだけで、

本当に救われたんだ。

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