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逆先夏目__既に堕ちていた。 ページ6

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学院の屋上の隅っこ。落下防止の柵の向こう側。
あと一歩、踏み出してしまえば後は落ちるだけ。
落ちている間に人は後悔するらしい。

…なんて、落ちるのは一緒なのにね。



『 こんな事なら、生まれなきゃ良かった 』



生きていても良いことなんて無い。
暗闇だけが私の人生。はやく楽になりたい。

あと少しだ、そう思ってゆっくり片足を前に伸ばす。



「 捕まえタ♪ 」



驚いて伸ばしていた足が思わず引っ込んでしまった。柵を挟んで私を掴んだ犯人はにっこり笑っている。



『 …なにするの、夏目くん 』



「 キミを偶然見つけてネ、こんな所でなにしてるのかナ? 」




私が何をしようとしていたのか、なんて聞かなくても分かっているだろうに。私が何も答えないでいると夏目くんは「 “こっちにおいで” 」と優しい声色で言った。

そう言われて自然と身体が動いた。柵を越えて落ちる心配の無い場所へ。夏目くんが私の手を取り、そのまま彼の腕の中へ。




「 キミが落ちないようにボクが魔法をかけてあげル 」



頭を撫でられながら耳元で囁かれてちょっとくすぐったい。と思っていたら額に感じた微かな熱。…ああ、おでこにキスされたのか、とやっと頭が動いて理解出来たのは数秒後。




『 ッ!!???! 』




声にならない声をあげて自分でも顔が赤いのが分かった。そんなこと男の子にされたのは初めてで……なんというか恥ずかしい。




「 Aだけにかける特別な魔法だヨ 」



なんてウィンク付きでそう言い残して夏目くんは帰って行った。結局彼は何しに来たんだろう、なんて聞かなくても分かった。





次の日も思い出してどうにも熱の冷めない私の頭の中はずっと赤髪の魔法使いで埋まっている。


__君の魔法で堕ちてしまった。







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月永レオ__君の歪な心が見たい。→←三毛縞斑__太陽は月を隠すらしい。



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作者名:碧依 ねむ | 作成日時:2020年2月21日 0時

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