雲と雪の守護者達 (ページ27)

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雲ハリネズミページ27

「雲の人、後ろ‼」

「ッ‼」

紫苑がクロームとか言うのの忠告を聞いて、薙刀で払う。

「うっ」

爆発の衝撃で華奢な紫苑は吹き飛ばされる。

「っと」

獄寺隼人が抱きとめた。

……ムカつく。

僕以外の男が紫苑に触れるなんて。

紫色の炎が、更に大きくなる。

「恭弥……」

「更に炎が大きく‼」

「すごい……」

「跳ね馬の言ってた通りだ。リングの炎を大きくするのは___」

横目で紫苑を見ると、愛しい少女は驚愕と尊敬と、どこか嬉しそうな目で僕を見つめる。

けど、彼女はまだ獄寺の腕の中だ。

それが僕のムカつきを増長させる。

「ムカつき」

(違う‼)

違う‼って叫ばれた気がするけど、無視。

匣が開き、どしゃ、と音がして何かが落ちてくる。

「キュー……」

「ハリネズミ……？」

「可愛い……‼」

パアッと効果音が聞こえそうなほど目を輝かせる紫苑に、少しだけ頬が緩む。

たたっと駆け寄ってきた紫苑は、キラキラとした目でハリネズミを見つめる。

「キュッ‼」

そっと手を差し出すと、ハリネズミが可愛く鳴いて、

ズシャッ‼

「あっ……‼」

「‼」

伸び縮みしていた針が、僕の手を貫いた。

針を伝い、僕の血が流れていく。

「キュ……キュゥ……キューッ‼」

「⁉」

「きゃっ⁉」

ショックを受けたハリネズミが、猛スピードで増殖していく。

僕は紫苑を抱き上げ、咄嗟にその場を離れる。

「こ、これは……」

「急いで出ないと、潰されるよ」