「ただいま」 (ページ3)

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アーサーページ3

今回の焔ビトは今まで俺らが戦ったことの無いくらい手強いらしい。明日は俺の誕生日なのについてないなと思っていたら現場に着いた。
確かに現場の雰囲気が今までと違う気がする。
俺は思わず息を呑んだ。久しぶりに緊張しているのだろうか、自分でも分からない。
「突入するぞ！」

やっぱり今回の焔ビトは手強かった。俺たちはみんなボロボロだ。戦えるような雰囲気では無い。焔ビトは弱まるどころか更に凶暴化している。
「一旦退くぞ！」
その呼び掛けを聞いた俺たちは走り出した。だが、人生思わぬことが起こるものだ。俺は少し走り出すのが遅れ、みんなと距離が離れていた。俺の周りには瓦礫が散乱していた。災難なことに俺は足を取られ転んでしまった。
「森羅！」
みんなとはかなり距離が離れているし、俺も素早く動けるような状態じゃない。案の定、転んだ俺を見つけた焔ビトがこちらに迫ってきた。体制を整え攻撃すればいいものの俺は周りの様子などから昔の嫌な記憶を思い出してしまった。また前と同じ軽くパニックになっている。逃げなきゃダメだとわかってはいるが体が動かない。俺はもう諦めかけていた。焔ビトが腕を上げた。
「…もうダメだ」
俺はそう呟いていた。その時だった
離れているみんなの中からこっちに走ってくる人がいた。
「森羅！」
その声が聞こえた時、焔ビトが腕を思いっきり下ろした。俺は目を瞑っただが何も痛くない。俺は目を開けた。
「…アーサー…」
「お前何して！馬鹿なのか！」
目の前には焔ビトの攻撃を受けて今にも倒れそうなアーサーが俺を守るようにして立っていた。
「森羅…お前こそ何諦めてんだよ…」
「ヒーローになるんだろ？…」
「こんなとこで死ぬなよ…」
俺は頭の中がパニックになっていた。目の前の状況を理解できなかった。
「アーサー！」
「お前を守れて良かった…」
そう言ってアーサーは俺の方を振り返り笑って倒れた
「アーサー！アーサー！」
俺がいくら呼んでも返事がない。視界が潤んで見えなくなってきた。ダメだ、今は泣くな。必死に自分に言い聞かせていた。
「大丈夫ですか！」
どうやら他の消防隊が来てくれたようだ。確かにさっきまでいた焔ビトもいなくなっている。俺の意識はここで途絶えた。