24 怖くてごめん ページ24
五条が夏油に話を打ち明けた次の日。そんな会話も露知らず、宮村Aは普段のように一限の授業の準備をしていた。古びた鞄から何とか原型を保っているボロボロの教科書を引っ張り出し、机の引き出しへと仕舞い入れる。
がらっ、と突然教室の戸が空いた音がしてそちらを見ると、制服のポケットに手を突っ込んだ五条がいた。
無表情な彼が私に気づいた瞬間、何故か視線をふいっと横に逸らされる。その何でもないような行動に傷つく自分がいた。
「宮村、はよ。今日は来るの早いな」
「ッ………うん、おはよ。実は早く起きちゃってさ。する事ないし、先に登校してきたの」
「…………ふーん」
そこで会話が途切れる。私は自分の机に向き直ると、心の中で深く溜息をついた。
やっぱり…………まだ五条のことが怖いんだな、私。
夏油や硝子といる時は普通に話せるのに、2人きりとなるとどうも会話が続かない。それに加え、以前まで敵対心を持たれていたからか、彼が真顔の時の目に未だ怯えている自分がいた。
何とか克服したいとは思うけれど、なかなか身体は思うようになってくれない。トラウマのような経験が残っている以上、私の五条に対するイメージがそう簡単に修復されないのは、理解しているつもりだ。
これからも1枚の分厚い壁が私達を阻むんだろうなと思うと、少しだけ胸が傷んだ。
…・…・…
そして時は過ぎてお昼休み。五条と夏油は、午後からそれぞれの任務に行かなくてはならないために黙々とお弁当を口へ運んでいた。
「なあ悟、あれから私の言ったことは続けてる？」
頬袋がいっぱいになった悟がこちらを見て、もぐもぐと口を動かす。何度も咀嚼して飲み込んだ後、やっと彼は話し始めた。
「実は今日チャンスがあったんだけどよ………やっぱりあいつのことまともに見れなくて、""笑顔を作る""暇がなかった」
「ははっ、悟は好きな子の前だと本当に何も出来なくなるんだね」
「悪かったな不器用で。俺はお前みたいな器用さがないから、ポーカーフェイスなんて根っから無理なんだよ」
しばらくの無言。その間も五条は、弁当に入っていたエビフライをガツガツと口に入れる。
その様子を見ていた夏油はタイミングを見計らって口を開いた。
「……まあそうだろうとは思ってたけどね」
「おい少しぐらいは否定しろ」
続く (更新停止中)
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クリス(プロフ) - 面白いです〜ツンデレ五条最高！ (2021年11月2日 14時) (
レス) id: c781421ae5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱりぱり。(プロフ) - アズライト@pitterさん» ありがとうございます ; ; 申し訳ない気持ちでいっぱいですが、空き時間にちょっとでも更新できるよう頑張りますね！ (2021年7月24日 7時) (レス) id: 6abb423506 (このIDを非表示/違反報告)
アズライト@pitter(プロフ) - 人生大事に、最優先に！また気が向いた時に更新してください！僕はいつまでも待っております！ (2021年7月24日 0時) (レス) id: a0f4e426d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぱりぱり。(プロフ) - 水泳進化人さん» 温かいお言葉ありがとうございます ; ; 無理せずちょっとずつ更新、という形になるかと思いますが、夏が勝負なので受験勉強がんばりますね。 (2021年7月21日 18時) (レス) id: 6abb423506 (このIDを非表示/違反報告)
水泳進化人(プロフ) - 本当に忙しい時は、無理せず休んで下さいね！！？？ (2021年7月21日 17時) (レス) id: ddf2ca19b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱりぱり。 | 作成日時：2021年6月20日 12時
