17 大丈夫、きっと上手くやれる ページ17
朝日が昇った。
私はいつも通りに高専へ行く支度を済ませ、起きてから何も言葉を発さないまま家を出た。肌に当たる木漏れ日と葉の擦れる音が、私の気持ちを落ち着かせてくれる。
高専へ向かう坂道でも、珍しく溜息さえ着かなかった。
『……あ、』
教室の戸に近づけば近づくほど、五条達の笑い声が鮮明に聞こえてくる。少しだけ心臓を上下させながら、私はバクバクと音を立てる胸を押さえつけた。
(大丈夫。きっと上手くやれる……)
私は気を落ち着かせ、重い戸を開けた。一番最初にこちらに気づいたのは、優しい笑みを浮かべた夏油だった。
「A、おはよう。今日は来るの早いね」
『夏油、おはよう』
私は笑顔で挨拶に答えた。彼が声をかけたことにより、残りの二人がこちらに視線を向ける。五条は私に気づいた瞬間、動揺したような表情を浮かべて固まった。
「お前、」
『あっそうだ夏油!この前私早退しちゃったからさ、ノート見せてもらいたいんだけど』
五条が何かを言い終える前に、私は夏油の方へ駆け寄った。幼なじみはそんな私の行動を目の当たりにして、驚くように目を見開く。
少し間があった後、「勿論いいよ」と太郎の時に見せてくれたあの優しい笑顔を浮かべて、板書されたノートを取り出してくれた。何かを勘づいた硝子が、へぇ、と意味深に呟く。
夏油とAが楽しく会話しているのを見た五条は、額に青筋を立てた。
「は……?今あいつ、俺の事無視しやがったよな?」
「いや、気の所為だろ。それより五条、昨日の夜蛾先生の言葉もう忘れたのか?」
机に肘を着いた硝子が五条を宥める。血管を怒張させ、怒りを露にした五条はAを睨みつけて悪態をついた。
「チッ……脳筋野郎、変な約束させやがって。へーへー。謝りゃいいんだろ謝りゃ」
そう言って椅子から立ち上がった五条は、彼女の方へと足を運ぶ。自分の方へと近づく足音に勘づいたAは、五条を目にした瞬間その場を離れた。
『ごめん夏油!ちょっと御手洗に行ってくる』
「あっおい!!!」
引き止める間もなく立ち去ってしまったAの背中を前に、五条はその場で立ち尽くした。それと同刻、笑いを抑えていた硝子と傑が、勢い良く吹き出す。
「あっははは!!見事に避けられてるね悟」
「き、気の所為だろ黙っとけ!!」
「無理あるだろ。完全にA逃げてたよあれww」
「手前ぇ等後でぶっ飛ばすからな"!!!」
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クリス(プロフ) - 面白いです〜ツンデレ五条最高! (2021年11月2日 14時) (レス) id: c781421ae5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱりぱり。(プロフ) - アズライト@pitterさん» ありがとうございます ; ; 申し訳ない気持ちでいっぱいですが、空き時間にちょっとでも更新できるよう頑張りますね! (2021年7月24日 7時) (レス) id: 6abb423506 (このIDを非表示/違反報告)
アズライト@pitter(プロフ) - 人生大事に、最優先に!また気が向いた時に更新してください!僕はいつまでも待っております! (2021年7月24日 0時) (レス) id: a0f4e426d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぱりぱり。(プロフ) - 水泳進化人さん» 温かいお言葉ありがとうございます ; ; 無理せずちょっとずつ更新、という形になるかと思いますが、夏が勝負なので受験勉強がんばりますね。 (2021年7月21日 18時) (レス) id: 6abb423506 (このIDを非表示/違反報告)
水泳進化人(プロフ) - 本当に忙しい時は、無理せず休んで下さいね!!?? (2021年7月21日 17時) (レス) id: ddf2ca19b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱりぱり。 | 作成日時:2021年6月20日 12時