願わくば、この思いが届きますように (ページ1)

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今日も母上達がお仕えする奥方、クリスタ様の叫びが聞こえる。

毎日のように癇癪を起こされるクリスタ様は私たちの手では負えなく、クリスタ様のご子息スバル様に頼るしかないのだ。

まだ幼いスバル様には荷が重い。

クリスタ様は叫び、スバル様をお呼びになったと思えば…カールハインツ様に似ているからと再び癇癪を起こし出すのが大体の日課だ。

スバル様がクリスタ様の癇癪をお止めになられた後、執事長が指示を出し私達侍女が即座に片付けに入る。

「チッ……」

スバル様は舌打ちをし、クリスタ様の部屋を出る。

ヴァンパイア王、カールハインツ様の離の城『逆巻城』
第一夫人コーデリア様を始めとするカールハインツ様の奥方、王子の皆々様をお世話するため使用人は住み込みで働くことになっている。

激務ゆえ、辞めるものが多いのが事実。

人間の年齢で言うと10くらいだ。一番年上であるご長男、シュウ様より一つ歳が上である。

人が少ないため、私も駆り出される。

王子様のように身分も良くない。働かなくては住む場所も、寝る場所もないのだ。

魔界には学校と呼べる教育機関があるにはあるが、勿論行っていない。

起きた瞬間から怒涛の一日が始まる。

逆巻城ホールディング全員が集まりミーティングを行う。基本は世話担当が決まっているのだが、時々ローテーションで交代する。

少しでも負担を皆で背負うためだ。

だが例外もあるクリスタ様の担当だ。

クリスタ様の担当主任は母上、ナターシャである。
唯一クリスタ様が心を開いて頂いた人物だからだ。

「サクラ、もうここはだいぶ片付いたのでスバル様の手当を行いなさい。先ほど、怪我をなさってたようだから」

「分かりました」

スカートの端を弧を描く様にもち、軽く頭を下げた。