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「……ただいま」
玄関で靴を脱ぎながら言うと
廊下先のドアからひょこっと顔を出して
「おかーりー」という同居人
………同時に同じ会社の部署違いで学生時代からの先輩
そのまま自室に行って、部屋着に着替えていると
「ワイシャツ洗濯機の中入れといてー」と
「……………はぁ」
了承の返事をしながら
意識しなくとも出てくる溜め息
サッサと脱衣所に行って
言われた通りに洗濯機へ
その間…というか
帰った時からいい匂いが立ち込めている部屋の中
小さいけど
一応リビングダイニングとなっている部屋に入ると
案の定のいい匂いが強くなる
あー力入れなくても腹が鳴るー
これまた小さめのキッチンの方に顔を出すと
「ちょうど飯炊けたから皿に盛ってー」
「あ、うん」
食器棚から皿を出して、言われた通りに
皿を渡すと「あんがとー」と言いながら
かき混ぜていた鍋にオタマを入れて
美味そうな匂いの源のカレールーが白米にかけられる
「ほい」
「あ、うん」
さっきと同じ返事してるな自分、と思いながら
皿を受け取って、ダイニングテーブルに
またキッチンに戻って
スプーンと、サラダ用にフォークも出して並べる
その間に、俺よりも数倍早いスピードで
スープとサラダを持ってくるこの人
俺はまたキッチンに行って冷蔵庫から麦茶を出して
………その間にグラスを持っていかれる
その行動を見て
また、小さな溜め息
「ん？どした？」
「あ、いや…」
言葉を濁しながら麦茶を持って行って
そのまま席につく
いつも通り「いただきます」と手を合わせれば
「ほい、めしあがれー」と言われ
また心の中で溜め息をついて
それでも空腹には勝てず
目の前のカレーにパクつく
「あーおいしー」
「よかったよかった」
俺と同じ様に自分もカレーを口に運んで
「お、やっぱカレールーは偉大ー」って言ってるけど…
ーーーーー貴方が作ったからだよ
前なら自然に出ていた言葉を
カレーと共に飲み込んだ
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作者名：櫻華
| 作成日時：2018年10月12日 8時
