【東卍】他力本願 (ページ3)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:8,004 hit

◯ ページ3

「なぁ知ってるか？志摩の奴また女子の服盗んで停学したらしいぞ」

「あぁ、だからいつにも増して誇らしげな顔でマイキーの横に立ってんのか」

無敵のマイキー
ドラケン
澄んだ瞳をしたクズ

なんて恐れられ、中学ではエロ魔人なんて蔑まれていたけど東卍のNo.3を張ってた事もあったっけ。

「おいコラ志摩。テメェ次また同じ事してマイキーの顔に泥塗ったらこんなもんじゃ済まねえぞ」

すんませんと緩く返す。左頬から鼻周りにかけガーゼや湿布を貼りなんて事ない顔をしマイキーくんの斜め後、所謂ドラケンの横に立っていると再びドラケンくんにどつかれた。

ドラケンくんは俺のだらしない性格が気に食わないらしい。女のケツばっか追いかけてはよく騙され捨てられているのを見られるし、軽犯罪行為をしてはこうして顔が半分隠れてしまうくらいボコられる。

特徴的なタレ目に緩く弧を描く口元。生まれつきのその柔い顔付きの所為で何ヘラヘラしてやがると何度どつかれた事か。

「俺はこの一度しか無い人生、後悔したく無いんすよ。だから自分の欲望には忠実に生きるって決めてるんです！」

全く反省する様子の無い、キラキラとした瞳でそう言い切ったのを見てドラケンは溜息をつき、マイキーは薄く笑う。

“澄んだ瞳をしたクズ”

彼を一言で表すとして最も適切な言葉であった

「んじゃポチ、どら焼き買って来て〜」

「え今俺パシられる要素ありました！？何なら人生後悔したく無いとかイキってた奴すぐ様パシるとかマイキーくんどんだけ人の心無いんすか！」

そう言いながらも全力でチャリを漕いで行ったAの後ろ姿を東卍の連中はさも当たり前の様に見届けた。

志摩Aは東卍メンバーでも最小年齢である中学一年であり、東卍No.3。決して威厳のある様な見た目でも性格でも無いし、陰から東卍を支えられる様な器でも無い。
なのに何故彼が東卍No.3を張っているのかと言うと

「あれが志摩A…」

“マイキーのお気に入り”

それだけの理由だった。