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潔 side
「なあ、聞いてくれ」
練習終わり、イガグリが眉をひそめて真剣な顔つきで声を発した。
「ん?どした?」
一番に反応したのは蜂楽。と言っても目線は手元にあるためあまり興味はなさそうだけど。
「俺、見ちまったんだ…」
両手で顔を覆って大袈裟げに何かを見たと言うイガグリに、何故か俺までごくり、と生唾を飲むように緊張してきた。
「なになに?幽霊でもみた?」
揶揄うように成早が問うと、それに対してイガグリは鼻で笑った。横で千切が「うざい」と呟いていたから心の中で同意しておいた。
「馬鹿かよ、そんなちっぽけなもんじゃ俺は驚かねえ」
いや、全然驚きそうだしなんなら腰抜かしてそうじゃん、と思ったが言わないでおいた。
「もったいぶってないではやく言えよ」
イガグリの焦らしに痺れを切らした國神が言う。
ほかの奴らも「そーだそーだ」「うぜーぞ」と口々に言い始めた。はやく言えよイガグリ坊主め((
「わーったわーった!お前らの気持ちは伝わったぜ、俺が見たのは______」
やっと話が進みそうだったその時、プロジェクターの画面がついた。
「やあやあ、才能の原石共。調子はどうだ?」
なんとも言えないタイミングで絵心からの話が始まり、みんな微妙な顔をしている。もちろん俺も。
イガグリに至っては「俺のメインターン…」としょげている。
「今日はお前らに伝えないといけないことがあってな」
毎回の如く淡々と話し始める絵心の顔を見ながらイガグリの話の続きを気にしていると、絵心の後ろにひとつの影が現れたことに気付いた。
「今日からお前らのサポートとかケアとか、まあマネージャーっぽいことをしてくれる。
花宮Aちゃんでーす」
絵心の紹介の後、ひょっこりと絵心の後ろから姿を見せたのは
「わ、かわいい子」
ぽつり、とほぼ反射的だろう、蜂楽が呟いた。
ロイヤルミルクティー色のふわふわとしたロングヘアに髪より少し色の濃いぱっちりとした瞳。透き通るように白い肌に、思わず目を奪われた。
どこからどう見ても、誰が見ても"美少女"と感じる容姿をした女の子だった。
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作者名:えだまめこ | 作成日時:2023年1月29日 17時