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8.危険な嘘 ページ8

「で、どうやってあいつに嘘吐くの?」
「簡単なことですよ、僕の感情を回収する約束をしたと言えばいいのです。」
「待って、それではお嬢様はまたあいつに…!!!!」
居ても立っても居られず、思わず中島に掴みかかる有岡。

「有岡、落ち着いて。」
「…はっ、失礼いたしました。」
自分が冷静さを失っていることに気づき、慌てて中島から離れる。
「ごめんなさい、中島さん。」
「大丈夫、大ちゃんがそれだけ月影さんを慕っている証拠だから。
ところで、月影さん、社長は色気仕掛けが効くタイプですか?」
「ちょっと裕翔急に何言ってるの」
嘘の吐き方っていろいろあるからさ、と有岡を宥める。

「多分効かない、魔法使いだから」
「そっか、そうですよね。では、僕が感情を回収されるのを急に拒んだ、だから後日約束をした。というのはいかがでしょうか。」
「中島さんのせいで、回収できなかったと。」
「そうです、そうすれば月影さんに非はないでしょう。」
確かに、と有岡が頷く。

だが、彼女にはまだ不安があった。
「けど、何の証拠もないまま信じてくれるとは到底思えない。」
「では、今からその証拠をつくりましょうか。」
「つくるって…いったいどうやって、」
戸惑う彼女。その様子を見た中島が無言で彼女の目の前に立った。

「中島さん…?」
「月影さん、少しだけ我慢していてください」
刹那、中島が彼女の首元に顔を埋めた。
彼女は一瞬、苦悶の表情を浮かべる。

「裕翔何して…」
「よし、これなら大丈夫でしょう。」
唖然とする有岡に構わず、にこりと微笑む中島。
された行為にきょとんとする彼女。
彼女の首元には赤い花が咲いていた。

「これで月影さんは100%悪くない。回収を拒まれたと主張してもまだ何か言われたら、無言で首元を見せてください。それからこう訴えてください。」

回収相手に、襲われそうになった、と。

その言葉に、彼女の目が見開く。
「でもそれだと、中島さんの評判が…!」
「そんなことまで気にしてくださるんですね、なんか大ちゃんが羨ましいな。」
「ねえ、裕翔。さっきからお嬢様に対してさ、」
「あー、分かってる、分かってるよ!大丈夫、横取りなんてマネしないから。」
再び感情的になっている有岡を見て、中島がくすりと笑う。

真剣な表情に戻ると、彼女と向かい合った。
「とにかく、月影さんは僕を徹底的に悪者扱いしてください。
それが、貴女を守るための嘘だから。」

9.最悪のタイミング→←7.依頼主の正体



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作者名:日和 | 作成日時:2020年11月22日 18時

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