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16.それぞれの思い ページ16

「有岡、なに馬鹿なこと言ってるの。主から離れるなんて私が許すと思ってる?慧は魔法使いだよ?有岡が立ち向かえる相手じゃないのは分かってるでしょ?」
畳み掛けるように訴える彼女。
だが、
「お嬢様、前にも申し上げましたが、執事たる者、主を守れなければ存在する意味がないのです。」
有無を言わせぬ顔、強い口調。
それは、主である彼女さえも黙ってしまうほど。

「知念様、」
「‥‥有岡は本当にそれでいいんだね?」
「もちろんでございます、お嬢様を守るのが私の役目。そして、許婚である知念様なら安心して託すことができますから。」

「分かった。‥‥宏太。今すぐ車まわして。」
侑李が、自らの執事である薮宏太に命じた。
「承知いたしました。」
頭を下げ、すぐに館内を出ていく。

「A、ごめんね、こんなやり方しか出来なくて。見ず知らずの人を、いきなり信じろなんて無茶な話だよね。」
「知念さんは悪くない。私が忘れちゃったから。それに、有岡が託す相手なら間違いないと思ってる。」
「‥‥ありがとう。」


「有岡、」
「なんでしょうか。」
深く息を吸い込み、ゆっくりと彼女の唇が動く。

「もし、慧に魔法、かけられちゃってさ‥‥」
「お嬢様、」
「今度こそ、私のこと、なんか、綺麗に消されて‥‥」
「あの、お嬢様‥‥」
「有岡にとって、"見知らぬ人間"に、なっちゃっ、ても‥‥さ」
「お嬢様!!!!」
今にも溢れそうなくらい涙を溜めた彼女の顔を見るなり、有岡が叫んだ。

「おかしなこと、おっしゃらないで下さい。お嬢様が望まれたあの時でさえ、消えることはなかったのですよ。」
「でも、慧の魔力は前よりも」
俯きがちの彼女の肩を、遠慮がちにとんとんと叩く有岡。
「大丈夫です。それに今回は中島もおりますから。」
そうですよ、と先ほどまで項垂れていた中島が有岡の隣にすっと立つ。
「僕は月影さんの味方だし、大ちゃんの味方だから。」
心配しなくていいよ、と微笑む中島。
その笑顔に、彼女も微笑み返す。

「ゆーてぃ、なんか馴れ馴れしい。」
「なっ、知念様!」
なーんてね、といたずらっ子のような笑顔。


「‥‥さ、そろそろ行こうか。」
そのうち宏太が呼びにくるから、と彼女の手を優しくとる。
「有岡、中島さん‥‥」
「大丈夫、絶対また会えますから」
「月影さん、僕らを信じて。」

彼女は二人の力強い言葉に頷き、侑李とともに館内を後にした。

17.二人の空間→←15.許婚の存在



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作者名:日和 | 作成日時:2020年11月22日 18時

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