13話 ページ13
後ろ手で扉を閉めると外の冷気は無くなり、暖かい空気が足元を通っていく。暗い一本道の廊下には何個もの扉があった。扉にかけられた銀のプレートにはそれぞれ魔法動物の名が刻まれているようだ。
「ルーモス」
ニュートが杖をかざすと光が私達を照らす。
杖先についた白い光を元に、私達は手前から順にプレートを見ていった。
「ムーナはどこ…?」
「…」
銀のプレートを指先で撫でると、ニュートは他の扉には目もくれずに一直線を早歩きで進んでいく。
やがて廊下を抜けると大きな広間のような所に出た。右手に暖炉があり、中心にソファが向かい合わせに置かれている。柔らかいオレンジ色の光は、頭上に輝くシャンデリアから発せられていた。
暖炉のおかげか暖かいを通り越して暑くなってきたのでコートを脱いで手にかける。ついでにマフラーも取った。
「こっち」
ニュートが手招く先には一つの扉。さっきのとは比べ物にならないくらい頑丈そうな扉だ。
鍵は一つだけ。試しにドアノブを捻ったが、当然ながら開かなかった。
ニュートは銀のプレートを睨みつけている。
そこには紛れもない「ムーナ」の文字。
中からは途切れ途切れに鳴き声が響いていた。
ムーナだ。そう気づいた時にはニュートが呪文をかけていた。
しかし、
「どうして開かないんだ」
苛立ったようにニュートが扉を鋭い眼で睨み、違う呪文も試していくが、結局ニュートが折れた。
「仕方ない…鍵を探そう」
「探すっていっても、どこを探せば」
「引き出しを片っ端から開けていくんだ。僕は隣の部屋を探してくる」
「わ、わかった」
私が頷くのを確認して、ニュートは別の扉の中に消えていった。平屋だから探す部屋は少ないだろうけど、その分ここの人間と鉢合わせる可能性も高い。
…早く見つけなきゃ。
試しにソファの間に設置されていた小さなテーブルの上を見遣る。
そこには沢山の書類が乱雑に置かれており、元の机の色はうかがい知れなかった。
ここに鍵はなさそうだ。
次に壁に寄せられている棚に目をやる。
引き出しを一段ずつ丁寧に開けたが、やっぱりここにも無かった。じゃあ一体どこにあるんだろう。
他に家具がないところを見ると、これ以上探しようがない。
一番下の棚を閉めて立ち上がろうと机に手をつく。
その時だった
____カチッ
「え?」
奇妙な音が耳に届くと同時だったと思う。
足元の床が消え、そのまま私の体は真っ暗な底へと吸い込まれるように落下した。
524人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉亜 - 今日 映画みてきましたああああああ!ニュートかっこよかったあああ!です! (2018年12月23日 21時) (レス) id: 0b051a452c (このIDを非表示/違反報告)
たこ焼き(プロフ) - 豆犬さん» こちらこそコメントありがとうございます!映画行ってきましたー!!どんな形であれ、一度は観て欲しい映画です! (2018年12月3日 16時) (レス) id: 528c8409e6 (このIDを非表示/違反報告)
豆犬(プロフ) - 返信してくださり、嬉しかったです...!って映画観に行ったんですかあああ!?!?()← 羨ましすぎますw 私は観れそうにないのでDVDを待とう(真顔) (2018年12月3日 1時) (レス) id: 7127065132 (このIDを非表示/違反報告)
たこ焼き(プロフ) - 谷桐さん» 谷桐さん初めまして!あああああっ!貴方様もですかぁ!ここは沢山の同志がいて素晴らしい所ですね…(´;ω;`)ニュートさんのカッコ良さを表現できるよう頑張ります! (2018年12月2日 17時) (レス) id: 528c8409e6 (このIDを非表示/違反報告)
谷桐(プロフ) - 私もハマってしまった1人です…(笑)。ニュートがもうかっこよすぎて!小説更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2018年12月2日 16時) (レス) id: d68a053c79 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たこ焼き | 作成日時:2018年12月1日 4時