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少し特別な,31 ページ31

◯。少し特別な



平常心を取り戻し
何食わぬ顔で稽古場に入る
倉庫から木刀を持ち出し
素振りをしている
無一郎くんの側に駆け寄った
真剣に振る姿は男らしくて
たくましくって
何というかずるいの
一択しか出てこない

気持ちを切り替えて、
師範らしく堂々とする



『体幹が少し悪いわね、癖ついてるわ
 足の位置変えてみたらどうかしら』


時「はい」



足の位置をずらした後
数を数えるのを再開した
九十ニ、九十三と数を数えている

さっきより安定していて
バランスも良い
百と言った時無一郎くんは
素振りを辞めた



時「師範、手合わせしてくれませんか」


『うん、後でね』



私言葉に無一郎くんは
首をかしげる
「何かあったかな」「何か言われてたっけ」
と今頭を巡らせているのだろう
真剣に顎に手を当てながら考えている

なんといってもその姿が愛おしい



『渡したい物があるの』



懐に入っていた
紙袋を無一郎くんに渡す

無一郎くんは、目を見張った後
素直に受け取った
紙袋をカサカサと音を
立てながら開ける
取り出した物を見ながら
無一郎くんは固まっていた

好みじゃなかったかなと
不安が募る



時「これは、なんですか?」


『これはね、刀に付けるお飾りなの
 師範からのお守りです』



暫く眺めた後、
ニッコリと愛おしそうに眺め始めた
嬉しそう、良かった
喜んでもらえたことの安堵と
愛おしさから口元が緩みそうになるのを
必死に抑えた



時「大切にするよ」



ふわっと柔らかい笑みが向けられる
この笑顔が愛おしく、
そして、嬉しかった
だって、年層相応の顔をしていたから

普段見れない顔に、
胸がぎゅっと締め付けられた



『ありがとう、
 じゃあ稽古始めましょう?』


時「はい
  師範、宜しくお願いします」


『はい、厳しく行きますよ』



両者ともさっきの雰囲気を完全に取り払い
頭を深々と下げ、手合わせを始める
柱同士の稽古がようやく始まった

第三節,夕暮れ時,32→←少し特別な,30



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設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:下倉琉羽 x他1人 | 作成日時:2021年10月10日 11時

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