変な夢 ページ26
俺はいつも通り任務を終えて帰ろうとした。
でもその時、背後の鬼に声をかけられた。
ボロボロの服を1枚着た少女が立っている。
「人間は喰べないの?」
首を傾げ、綺麗に伸びた長い髪を揺らす。目元が見えず不審だ。
「うん。君も喰うよ?」
「いいよ、食べて。
私誰にも必要とされてないから」
「……名前は?」
「ないよ」
「……そう。俺もう行くよ」
ギュッ
「?」
俺は少女を見た途端、グラッと視界が揺れたかと思ったら、そのまま倒れ込んだ。
「……っ?」
動けない。全く微動だにできない。
「 血鬼術 眠り子 」
俺はそのまま意識を失ってしまった。
*
懐かしい夢を見た。
俺が蝶屋敷を訪れている夢だ。
変だな、俺は俺なのに、全く別人が目の前にいるようだ。
「よっ、しのぶ」
「朝から元気ですね」
「おう。今日は任務がないんだ」
「私もありませんよ」
「じゃあちょっと出かけようよ」
鬼になる前、毎朝しのぶの元に訪れていた。
俺はこんな風に笑ってたんだな。
「しのぶが熱出した!?」
これはよく記憶に残ってる。
しのぶが毒を飲み始めた時、酷い副作用に襲われていた。
だから俺は鴉に「しのぶに何かあったら絶対伝えてくれ」と監視させていたんだ。
それもあってしのぶが熱を出したらすぐに飛んで行けた。
「わざわざ、来てくれたんですね……」///
「た、たまたまだよ。大丈夫なの?」
「はい。落ち着きました」///
「……」
もう毒を飲むの、止めないか?
俺は言おうとした。
でも言えなかったんだ。
だからそうやって拳を握って、しのぶにはバレないように悔しがった。
「俺、絶対しのぶのそばを離れないから」
「私の目の前からいなくなりませんか?」
「いなくならないよ。ずっと隣にいるよ」
「約束ですよ」
無責任な言葉を並べた。
今はその約束を守ってない。
しのぶの前から逃げている。
「嘘つき」
だから、そんな言葉を投げられる。
*
目を覚ますと、そこは洞窟のような場所だった。といっても小さい。
視線を横に向けると、入口が見えて日光を隠すように繋がった葉が並んでいた。
「Aさん!」
気のせいかな、しのぶが目の前にいる。
俺を心配しながら、俺の顔を上から覗き込んでいた。
176人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう(プロフ) - いやいやそんなこと!次回6話程で完結しますので是非見てください!! (2021年3月11日 0時) (レス) id: c0465afe59 (このIDを非表示/違反報告)
天麩羅 - おぉ、なんかいつの間にか凄いことに、どうしたらこんな続きが気になる終わり方が書けるんだ? (2021年3月10日 22時) (レス) id: 9b224ffa84 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - ほんと増えましたよね!嬉しい……(泣)見てくれる人がいると自然とニヤけが止まらなくて気持ち悪い顔してます笑 (2021年3月6日 13時) (レス) id: c0465afe59 (このIDを非表示/違反報告)
天麩羅 - お気に入り登録一気に増えましたねぇ、どんどん人気になっていく、凄い、、! (2021年3月5日 19時) (レス) id: 9b224ffa84 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 頑張りますー! (2021年3月3日 21時) (レス) id: c0465afe59 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちゃゆ | 作成日時:2021年2月19日 21時