生死のさまよい ページ37
宇髄さんや炭治郎君たちが任務に向かうと、アオイさんは泣きそうな顔をして俺の背中を摩ってくれた。
「ごほっ!!げほっ!!」
「Aさん!カナヲ、お水を持ってきて!」
「う、うん」
「なほちゃんたちは薬持ってきて!」
「は、はいぃ!」
や、ばい。
「はぁ!はぁ!」
今までこんなに苦しかったっけ。
「どうしよう……、私のせいで……」
アオイさんは泣いていた。
「はぁ、はぁ、泣かないで」
「喋らないでください!息をすることに集中して!」
「かはっ!!」
あ
「(血だ)」
ついに吐血してしまった。
それを見たアオイさんは血相を変えた。
それからは意識が朦朧としてて何も覚えてないけど、隠にベッドまで運んでもらった記憶はある。
名前を呼ばれた。薬を飲んでくれとも言われた。
でも身体が重くてコップ持てないし、身体中痺れてるしで何も出来なかった。
そのまま目を閉じると、なんだか違和感がして目を開けてみたら別の場所にいた。
「……?」
ここはどこだろう。
真っ白な世界だ。
「A」
「……!」
ああ、そうか。
「カナエ」
ここは天の世か。
俺は死んだんだ。
「まだ」
「?」
「まだ来ちゃ駄目よ」
カナエは俺の肩を持って思いきり押した。
「なっ!」
尻もちをつくのかと思ったら、底が抜けてて空から落とされたような感覚だった。
「しのぶをよろしくね」
確かに、その言葉だけが耳に入った。
暗闇に落ちた俺は目をつむった。
「起きて、Aさん」
この空間で聞き取ったその声は、しのぶさんだった。
「……ん」
目を開けると、もう暗闇でも真っ白な世界でもなかった。
「……」
俺が無理矢理外した呼吸器が口元をおおっている。
身体中重かったのに、今はそこまででもない。
苦しくて吐血が出るほど悪化していた喉も今は焼けるほど痛くないし、意識はまだ少し朦朧としてるけど大丈夫だった。
「Aさん?」
扉の近くに、俺を見て口を開けた人がいた。
「しのぶ、さん……」
あれ、あんまり声出ない。
いつの間にかしのぶさんは俺のところに来て抱きしめた。
「?」//
これだけで心臓とまれる。
「よかった……」
しのぶさんは泣いていた。
65人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちゃゆ | 作成日時:2021年11月29日 15時