終わりは始まり【胡蝶しのぶ】 (ページ34)

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昔の俺たちのようにページ34

「え？何これ」

朝、起きると手首に縄が付いていてベッドに繋がっていた。

「おはようございます」

「おはよう。しのぶさんこれ何」

「貴方がまた蝶屋敷を抜け出さないための道具です」

こんな、え？

「他にも手は打ってあります」ニコ

こわ。

「？あら、昨日できた傷はすぐ治りそうですね」

「……」

【お前まさか、ゴミ野郎か？】

なんでここにいたんだ。もう会いたくないな。

【お前みたいなきったねぇゴミに好かれるなんてろくな人生送ってないよな。この女もゴミの仲間か？ははっ】

俺のせいでカナエやしのぶさんが馬鹿にされた。
どうしてもそれが許せない。

ピト

「！」

考え事をしていた時に、首にひんやり冷たいものが当たる。

それはしのぶさんの小さな手だった。

「な、なに？」

「あの人が言ったことなら気にしなくていいですよ」

気にしてくれていたんだ。

「貴方はゴミではありません」

カナエと同じことを言ってくれている。

「間違っていたらすみません。
もしかして、周りからゴミ扱いをされていたから、アオイたちが作ってくれたご飯が自分に似合わなくて食べにくいと思ってますか？」

その通り過ぎて何も言えない。

「はぁ。ろくでもない人間はあの人の方ですよ。
人の気持ちも理解しようとせずひたすら罵倒するなんて人間のクズです」

ん？

「あんな人のせいで気分を害すなんて人生損してますよ」

「……そう、だな。頑張って食事とってみるよ」

「もう朝食の準備は出来ていますから、行きますよ」

「ああ」

ベッドから縄を解くとしっかり縄を握りしめた。

「これで逃げられませんね」

「はは……。さっきさ」

「？」

「感情の制御ができてなかったよ」

「！！｣

「カナエはクズって言葉口にしないぜ」ニコ

「あっ。わ、忘れてください」

「いいよそのままで。俺の前では気抜いてほしいな」

「そんなこと言ったって縄は解きませんよ」//

「あーばれた？」

少しずつ前みたいな関係に戻りつつある。

「……」//

この距離感が好きだ。