ばれた ページ22
「……」
あれは、しのぶさんだ。
あんな変な男に捕まってたから帰りが遅かったのか。
「っ」
俺のだぞ。
「結構です。急いでいるので失礼します」
「連れないねぇ。ちょっとくらいいいじゃん」
しのぶさんの肩に手をかけようとした男の腕を握り捻った。
「ぐあ!いでで!!」
「!?」
「俺の彼女に何してんだよ」
「ひっ!すみませーん、失礼します!!」
すぐどっか行った。
「Aさ……、!!」
「しのぶさん、大丈……」
ガシッ!!
勢いよく腕を捕まれたと思ったら悲しそうな顔をしていた。
「どうしてここにいるんですか」
「え?あー、帰りが遅いから心配で」
「来てください」
連れていかれた先は宿泊茶屋で襖を開け部屋に入る。
しのぶさんはここがどんな場所かわかって入ったのか?
宿泊茶屋ってのは出会茶屋みたいなもので男女が嗜む場だ。
「脱いでください」
「えっ?」
まさか本当に……
「馬鹿なんですか。
私がその怪我に気づいてないとでも?」
「!」
ああ、処置のためか。
「早く脱いでください。
傷口が広がって出血死したくないでしょう」
大人しく服を脱いだ。
羽織り、隊服の順に脱ぐと、シャツが血で染まっていた。
「何故あの宿で待機しないんですか。
鎹鴉に私を呼ばせればいいことでしょう」
「何かあったと思った。またいなくなったら嫌だろ」
「!(姉さんのことを言ってるのかしら)」
黙ってシャツを脱ぐと幸い傷は浅くも出血が多いくらいだ。
近くに俺らを映す大きな鏡が視線に入ると、あれが見えた。
【貴様、首に口付けなどつけおって】
あの鬼が言っていた口付けって、これのことか。
口紅がついてるのか。
え?誰がつけたんだ?
誰ともそんな行為した覚えないし……。
「Aさん、左を向いて横になってください」
「あ、うん」
そういえば昨晩こうして寝たな。
……まさか……
「(口付け、まだついてる……。
気づかれないうちに消さないとバレるよね)」
「しのぶさん」
「はい」
「昨晩俺にキスした?」
意表をつかれたしのぶは、目を見開いた。
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作者名:ちゃゆ | 作成日時:2021年11月29日 15時