独占欲 ページ16
体調が良くなるには3日ほどかかった。
でもその間は充実しなかったわけではない。
「しのぶさん」
夜中になってこの部屋に来るしのぶさんの体温を感じて、しばらく満足するのが日課みたいなものだった。
夜は俺の楽しみだ。
退院してからも夜中に訪れるなりしのぶさんを抱きしめた。
それから1週間後、いつものように蝶屋敷に行くとしのぶさんからこんなことを聞かれた。
「これ、毎日続くんですか?」
「駄目?」
「……っ」//
「好きにしていいんでしょ」
「そうは言いましたが……」
「嫌なら止める」
「嫌とは言ってませんけど」
「じゃあやめない」
俺は子供か。
今日はいつもと違って前から抱きしめた。
暖かい。
次の日、散歩をしていると栗花落カナヲさんに会った。
俺を見るなり近づいてきて何も言わずに見られた。
「な、なんですか」
何も話してくれない、と思ったら口を開けた。
「しのぶ姉さんを苦しめないでください」
……しのぶ、姉さん?多分、義理だよな。
「毎晩毎晩、姉さんは困っています」
「!見てたんですね。
困ってるってどういうことですか。
これ一応、同意の上でしてるんですけど」
「弱みに漬け込んだのではないですか」
その通りです。
「姉さんが何を考えているのかわかりません。
でも最近ぐったりするようになったのは影柱様が原因だと思われます」
「……」
「だからやめてください」
そう言うと帰って行った。
「俺だってわかってんだよ……」
好きでもない男に抱かれれば嫌だろうしだるいと思う。
でも我慢できない。
俺のだるかった人生が、ここまで変わった。
叶えたいことは叶えたい。
「……」
これも自分勝手だな。
65人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちゃゆ | 作成日時:2021年11月29日 15時