殺してください 弐【胡蝶しのぶ】

お願いします ページ13

｢頸！くっつけらねぇように持って遠くへ走るぞ！｣


嫌な予感がした。

朝からずっとそうだった。


その予感は今、的中したんだ。



ドサッ！！

堕姫の頸を持った伊之助が妓夫太郎に心臓を貫かれて倒れた。


｢！どうしてあいつがこっちに…宇髄さんは…｣


炭治郎が視線を向けると、左手を失った宇髄が倒れていた。

驚き固まる炭治郎に帯が襲いかかると善逸が庇う。

ガタッ！！

そのまま2人は建物ごと倒壊する。


辺りは平面だ。建物は崩れなくなっている。

廃墟みたいになってしまった。


その中で俺は、1人立っていた。


｢残るはお前だああ。いけ、飛び血鎌｣

｢私の頸を2度も斬ったの！生かしちゃおけないわ！｣


堕姫は落ちていた刀を投げると、Aの腹に刺さった。


ドスッ！


同時に妓夫太郎の3つの血鎌がAに襲いかかる。



｢……｣



俺の腹から出ている鋭い刀の先。

俺がカナエの心臓を貫いた時のことを思い出した。

鈍痛だけど、血が流れ出ている。

記憶ってのは嫌なほど頭に残るんだ。



血鎌がAの頸を斬ろうとしたとき、

誰かがAを思いきり押した。


ドンッ！！


｢！？｣


見ると、微笑んでいる桜木さんがいた。


｢生きてくださいな｣



｢っ！？ やめろおお！！！｣




·


·




｢うおおおおお！！｣


ズッ！！！


重傷を負った宇髄は妓夫太郎を押さえ込んだ後、

鎌で顎を貫かれている炭治郎は妓夫太郎の頸に刀をいれた。


｢なんでよコイツ！お兄ちゃんが心臓を刺したのに！｣


｢内臓の位置をズラすなんてお茶の子さいさいだぜ！

険しい山で育った俺には毒も効かねえ！！｣


善逸と伊之助も起き上がって堕姫の頸に刀をいれる。








そのときAは腹に刺さった刀を抜き、桜木を抱いていた。



｢桜木さん、桜木さん…！｣



Aは斬られそうになった桜木を押し倒して守った。

でも桜木は左腕が取れかけていて深い傷を負っている。

Aも肩や胸を深く斬られ酷く出血している。



｢これを飲んで下さい。解毒剤です、少しなら効くから｣

｢……｣

｢頼むよっ、飲んでくれ…!!｣




｢………私は…、孤独でした｣




死にそうな声で自ら過去を話し始めた。

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