もういいんだ ページ1
あの夜から君に会いに行っていない。
毎晩、蝶屋敷に行くと決めていたのにな。
｢Aさん、今日は夜の散歩に行かないの？｣
｢うん。もういいんだ｣
どうせ止めたって聞かないんだから。
それならもう放っとこう。
｢お前、しのぶの秘密知ってるのか？｣
ある日、店街を歩くと桐生真司に声をかけられた。
怒ったような顔で俺を見ている。
｢なんのこと？｣
｢藤の花｣
ああ、こいつも気づいてはいるんだ。
でも藤の花を何に使うのかは知らない。
しのぶの部屋に出入りする時に見かけたんだろ。
｢知ってるなら教えろ｣
｢知らないよ｣
｢…お前、心冷たくなってる｣
そういえば心の温度がわかるんだったな。
｢冷たくたってるって、俺には心がないんだろ？｣
｢っ、あれは、むかついたから嘘ついたんだ｣
｢？｣
｢心はある、でも前に比べて冷たい｣
｢……｣
｢しのぶの心もよくわかんなくなってんの。
しのぶの秘密を教えてくれ、そうすればきっとわかる｣
｢……わからないよ｣
嘘をついてしまった。
｢ちっ。わかったら教えろよな｣
わかったてくれたようだ。
｢なんて言うもんか。知ってるくせに嘘つくな。
心が冷たい。嘘ついてる証拠だ｣
見え見えだった。
｢本人に聞けばいいだろ｣
｢…教えてくれなかった、焦らされたんだよ｣
｢…！｣
｢お前はどうやって知った？｣
｢……俺が気づいた｣
｢くそっ！なんなんだ、俺にはわかんねぇの？｣
｢さあな。でも知ったところでって感じだよ｣
｢は？｣
｢知ったって何も変わらない。俺には変えられない｣
｢……危険なのか？｣
俺は何も言わなかった。
｢桐生、君なら彼女を変えられるよ。
だからいつも隣にいてやってくれ｣
｢なんだよ、急に、気味が悪い｣
笑い吐き出すように声を漏らす。
Aは桐生の目をまっすぐ見てそらさなかった。
｢当たり前だろ。俺は一生しのぶの隣にいる｣
その言葉を聞けてとても安心した。
｢じゃあな｣
軽く手を振ってその場を去る。
桐生は不思議な顔をして、Aに背を向けた。
｢A｣
｢冨岡…｣
｢どうして胡蝶を避けている｣
｢会って第一声がそれ？｣
｢胡蝶が寂しそうだ｣
｢大丈夫だよ。桐生が今蝶屋敷に向かって…｣
｢胡蝶にはAが必要だ｣
｢…はっ｣
反吐が出る。
そんな言葉、信じられるかよ。
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ゆう(プロフ) - hutoさん» ほんとだ！！今急いで直しました！！見てくれてありがとうございます！気をつけますね！ (2021年2月4日 2時) (
レス) id: c0465afe59 (このIDを非表示/違反報告)
huto(プロフ) - いつも面白いお話ありがとうございます！気になったのですが、あなたの笑顔のお話の最後上弦の参となっていたとですが、上弦の弐ではないのですか？ (2021年2月4日 1時) (レス) id: adbf76b9c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 小桜さん» 鬼滅の刃はしのぶ最推しですっ。かわいいですよね！桐生も報われてほしいんですけどどうなることやら…。ありがとうございます！頑張ります！コメントも励みになります^^* (2021年1月25日 10時) (レス) id: c0465afe59 (このIDを非表示/違反報告)
小桜 - ゆうさん» お返事、ありがとうございます！しのぶさん、愛らしくて可愛いですね。桐生君は少し可愛そうな存在ですね...。頑張ってください！これからも応援しております！ (2021年1月24日 11時) (レス) id: 2f84cbf165 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 小桜さん、初めまして！見てくれてありがとうございます！！そう言っていただけるととても嬉しいです！幸せ願うばかりです。 (2021年1月23日 15時) (レス) id: c0465afe59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃゆ | 作成日時：2021年1月17日 0時
