【A3】３時間彼氏。【茅ヶ崎至】

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明るい茶髪で毛先を赤く染めている、少し大人びた女の人が、至さんに手を振りながらこちらに歩いてくる。


私は至さんの後ろに隠れた。





｢是雪(これゆき)さん…。どうしてここに？｣


｢え？たまたま至を見つけて！そこにいる子と今デート中？｣


｢うん、まぁ…。｣





是雪さん、と呼ばれた女性は私の前に立って、優しく微笑みかけた。




｢A、紹介するね。ユーザーの是雪紗英さん。｣


｢よろしくね！｣


｢よ、よよよよろしくおねがいします｣


｢ははっ、緊張してるの？可愛いなぁ。｣




是雪さんはそう言って、私の頭をわしゃわしゃとした。
見た目は少しケバいけど、優しい人っぽい。


そう思っていると、至さんが｢ごめトイレ｣と言って、歩いていく。

ゲーセンには私と是雪さんが取り残された。




すると是雪さんは｢ねぇねぇ！｣と話しかけてくる。





｢Aちゃんって、いつから至を指名してるの？｣


｢え？うーんと、１ヶ月前くらい…ですかね｣


｢そうなんだ！｣


｢是雪さんはいつからなんですか？？｣


｢あたしは、2ヶ月前からかな！｣


｢え？！｣





私より前から至さんを指名していることに、驚きを隠せなかった。
だからあんなに馴れ馴れしく(？)できるんだ…。



｢あたし、さっき2ヶ月前からって言ったけどさぁ。未だにプライベートで『紗英』って呼んでくれないんだよね…。
呼び捨てオプション付けないと｣


｢へぇ……………


ん？｣





是雪さんの言葉に私の思考は一瞬ピタリと止まった。








"｢呼び捨てオプション付けないと｣"……?





｢ん？どうかした？｣






是雪さんにそう聞かれて、私は躊躇った。
でもこのまま疑問を持っていたら、なんか嫌だ。




_________もう聞いてしまおう。




｢あの、是雪さん。呼び捨てオプションって無くなったんじゃないんですか？｣





私がそう言うと、是雪さんはピタリと止まる。
そして｢ぷっ｣と吹き出して笑った。





｢やだなぁAちゃん。









呼び捨てオプションはまだあるよ。しかも、前よりも値段が上がって。…ね！｣

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