【A3】３時間彼氏。【茅ヶ崎至】

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水族館をグルグルとしていると、私はふと時計を見た。


入館したのが17:30くらいだったから…。




｢え？！｣



20:50？！20分オーバーしてるじゃん！！！！！！

どうしよう、至さんに迷惑かけるといけないから、早く知らせなきゃ！！



｢あの、至さんっ時間が_________｣


｢もう少し、一緒に居たい。…って言ったらどうする？｣


｢…え__｣







そう言った至さんは眉を下げて私を見る。
でもすぐに笑顔になって｢ごめん、冗談｣と言った。



｢ごめんね、困らせちゃって｣


｢い、いえっ！｣



そして至さんはいつものように電卓をだす。



｢今日は『手繋ぎオプション』が1800円、20分オーバーしたから＋150円で、合計1950円です。｣





あれ、なんか安いなぁ。



そう思っていると、ある事に気づいた。





｢至さん、









『呼び捨てオプション』はついていないんですか？｣





・




・




・




『やっと気づいたか』



そう心の中で呟いた。



｢あぁ、実はそのオプション、無くなったんだ｣


｢そ、そうなんですか。

はい、1950円です｣


｢丁度ね。｣




代金を受け取ると、Aは笑顔で｢楽しかったです！｣と言った。



｢俺も楽しかったよ｣


｢えへへ…。なんか嬉しいですねっ

ではまた！！｣


｢うん｣




Aは俺に背を向けて歩いていく。
どんどんその背中が遠くなっていく。



《行かないで》



そんな気持ちが強くなって、思わずAの腕を引いた。



｢っ！い、至さん…？｣


｢やっぱり夜だから送っていくよ｣


｢ぇ、でも＿｣


｢何があるか分からないでしょ｣


｢…じゃあ、お、お願いします｣




熱が顔に集中していくのが、自分でも分かった。

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