花巻君の好きな人は私ではない。３【花巻貴大】

はちじゅうよんわ。 ページ12

＊△▽









『 最近良くないらしいよ』









この言葉を聞いて、ドキンと跳ね上がった私の心臓。
やっぱり私は最低だ。
もう考えない。
もう想わない。
そう何度もなんども決めたじゃない。

なのになんで、まだ私は花巻のことにいちいち反応するのかな。





そんなの、わかってるけど。







そんなの、私がまだ奥の方で花巻の事を想っているから。









きっと、まだ時間が足りないから。









きっと、時間が解決してくれるから。







それまで









それまで、だから。









A｢……わたしって、最低｣




松川｢恋は人を弱くする｣




A｢なにそれ｣




松川｢どっかで聞いたことある｣





恋は人を弱くする、かぁ







A｢……正論｣



松川｢でもさ、俺的には｣




口に入れていたチュッパチャプスを手に取り、私の目をみた松はなんだかすこしさみしそうだった。





松川｢恋は人を強くもする、なんて思うね。｣







A｢強く、する｣






なんとなく見ていられなくて松から目をそらした。









松川｢だからそーやって、自己嫌悪ばっかりしないの。春には春にしかない強さだって沢山あるの、俺知ってるから。｣




また




また、松の笑顔がさみしそうに見えたのは気のせいではないだろう。






松も恋、してるのかなぁ。

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