花巻君の好きな人は私ではない。【花巻貴大】

にじゅうわ。 ページ23

△▽



咲良「Aー」





、





A「どしたん？」



咲良「うち今日用事あって午後練休むから、部室の鍵〜」



ほいっと言ってこっちに鍵を軽く投げてきた



A「あ、うちも今日放課後職員室に呼び出し食らってんだわ。」



さっきの大化の改新の件で私の放課後はおそらく雑用パラダイスだろう



咲良「え、あんた何したの(笑)」

A「まぁ人生色々あるよね」

クスクスと笑う姿は、本当に可愛らしい。
お腹を抱えて大口開けて大爆笑する私の姿とは、まさに月とすっぽん。


いや、天使とう〇こ。


はぁ、隣に並ぶの辛いな。




咲良「じゃあ、及川くんに渡すかー。及川くーーん！…って、いないか」


私も振り返って教室中を見回すが、及川の姿はなかった。


A「あ、そーだ。あいつさっき３組の女子に呼び出されたんだっけ。」



咲良「あー、また告白かぁ〜モテモテだねぇ〜？」


お前もだからね。




咲良「てかさ、ずっと思ってたんだけど」


A「なに？？」



咲良「Aと及川くんってなかなかお似合いだよね(笑)」




…は？


A「はぁ！？ないないない！」



咲良「えー？(笑)だってA可愛いし！イケメン及川くんと釣り合ってると思うんだよね！！」


A「ないない、私ファンに刺されちゃうってば」


及川は悔しいけどかなりモテる。
ファンなんてそこらじゅうにわんさかいるわけで、今この会話だって誰かに聞かれていたらアウトだ。



咲良「それもそーね…じゃあ花巻は！？」



A「え」



思わず固まりそうになった。


咲良「いや〜花巻とAめっちゃ仲良しじゃん？うち転校してきたとき付き合ってるのかと思ったもん！」



A「花巻は…ないよ、(笑)」



だって、花巻の好きな人はあんただよ、咲良


私なんかじゃないんだよ



咲良「えー、でもさ…」

A「はいはい！もーチャイムなるよ！じゃあね！」


グイグイと背中を押しながら６組から追い出す。

咲良「あ、ほんとだ！じゃあこれ及川くんに渡しといてね！」


そういって咲良は５組の教室に戻っていった。


ごめんね、


それ以上は笑って受け流せる気がしなかったからさ

全部、全部想ってること吐き出しちゃいそうだったからさ



「花巻が好きなのは咲良なんだよ！！！」




頭の中で再生されて、ググッと頭の奥が痛くなる。そんな感覚が気持ち悪くてつばと一緒に飲み込んだ。

にじゅういちわ。→←じゅうきゅうわ。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す