１１１ 針葉樹 ページ11
『だつ！...っ』
戻ってきた彼を呼ぼうとする自身の口を咄嗟に塞ぐ。軍の者が目の前にいるのに脱獄王のことを口に出しては、次は彼の身に危険が及んでしまうだろう
段々と近づく男は後ろの脱獄王に気づいていなかったのか、ぷう助が男に突進すれば避けられずに吹っ飛んでいった
幸い針葉樹は大きく葉を広げて育っていたから、山にいる狙撃手には見えなかったのだろう。脱獄王が撃たれなかったことと辻褄が合う
『な、なんで戻ってきたんです？！』
白「俺との契約があるだろ！！死なれちゃこっちが困るんだよｯ」
後半の方でだんだん声が小さくなって言ったが、最後まで聞き取れた。脱獄王を見れば、後頭部をボリボリかいて目を合わせちゃくれなかった
白「とりあえずあの男が起き上がる前にさっさと逃げようぜｯ」
『は、はい！』
勢いをつけてぷう助に乗り脱獄王の肩を掴めば、手綱を振ってぷう助を走らせた
さっきの男を見るように振り返れば、膝を着いたままこちらを見ていた
『...月島、軍曹.........』
吹っ飛ばされた勢いで軍帽が取れてしまったのか、顔がよく見えるようになった
やはり、さっきの声は月島軍曹の声だったんだ
さっきの蹴りが...訓練の時よりも桁違いに強かった。本気で殺しにかかってきてんじゃねぇかってほどに...
そして、雪山方面から撃ってきた狙撃手は尾形上等兵かもしれない。正確に撃ち抜ける技術がある上に、思い返せば彼が愛用している銃の発砲音だった
尾形上等兵のように銃声で銃の種類をなんとなく当てられる能力は無いが、約1年ものあいだ毎日のように聞いていたらわかるもんだ
白「なんでアイツら俺たちを襲ったんだ...？」
な？と共感を求めるかのように聞いてきた。なんて言えばいいかわからず、間を開けて言葉を呟いた
『...知るわけないじゃないですか、』
いや、知っている。というか予想できる。脱走兵の私を捕まえに来たに違いない
前に盗み聞きしたのだが、兵士が足りないと鶴見中尉が言っていた。多分、私を連れ戻そうとずっと追いかけてきてたんだ
白「とりあえずここから出よう！」
『そうしま......ま、待って！！針葉樹の林から出ないでくださいッッッ！！』
急いで脱獄王から手網を取って後ろに引いたが、その時にはもう針葉樹の林から1馬身ほど出てしまっていた。戻ろうと方向を変えた時
また銃声が聞こえた気がし、私たちはいつの間にか雪の坂道を転がっていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
☆夢腐女子☆(プロフ) - 見守るセミさん» 長くなってしまったお話ですがたくさん読んでいただいて、そしてコメントありがとうございますっっ。新しい話の更新までもうしばらくお待ちください。ﾝﾌﾌﾌﾌ (3月26日 0時) (
レス) id: 8f82e0922d (このIDを非表示/違反報告)
見守るセミ - え待って尊い。1日で読んでしもた。あ、どうも名乗り遅れました、見守るセミです。腐も夢も大好物です。推しは、杉元ニシパ、尾形ニシパ、月島ニシパ、宇佐美ニシパでござんす。無理せず楽しんで作成して下さい、更新お待ちしております。ｱﾋｬﾋｬﾋｬﾋｬ (3月25日 23時) (レス) @page24 id: d5e2d1caf3 (このIDを非表示/違反報告)
☆夢腐女子☆(プロフ) - まめさん» コメントありがとうございますっっ。気に入って頂けてすごく嬉しいです！ (3月24日 23時) (レス) id: 8f82e0922d (このIDを非表示/違反報告)
まめ - 更新待ってます！ (3月24日 11時) (レス) id: faa4b97585 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - 一気読みしたものです。マジで設定が好きすぎる＼(^o^)／ (3月24日 11時) (レス) id: faa4b97585 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：☆夢腐女子☆ | 作成日時：2024年1月3日 0時
