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翔「楽しい？小学校の先生」
「うん。それなりに」
辛くもないし、楽しくもない。
私にとって仕事は生活の一部で、別にあってもなくても困らないと思う。
ただ、食べていくために必要なだけ。
翔くんはきっと、仕事が楽しくて仕方ないんだと思う。
そりゃあ、辛いこともあるだろうけど、私とは違って、仕事に人生の意味みたいなものを見出してる気がする。
そこが翔くんと私の違いなんだろうな。
翔「そっか。それはよかった」
翔くんは、よかったよかった、と言いながらテーブルの上の資料の山を片付けた。
何がよかったのかわからないけど、翔くんに言われると、いいんじゃないかと思えてくる。
私はたぶん、重症だ。
人生の意味が翔くんになりつつある。
いや、もう二十年前から、私の人生は翔くんで埋め尽くされてたのかもしれない。
「翔くんはすごいよね、弁護士の仕事、楽しくて仕方ないんでしょ」
翔「うん、そうだね」
「私とは大違いだよ」
翔「でも俺だって最初から楽しく仕事してたわけじゃないよ」
「そうなの？」
翔くんは私の隣に座り、焼酎の氷を人差し指でつんつんしながら言った。
翔「弁護士になろうって決めたのだって、まあ、いろいろ理由があったから」
「え、小学生の頃から決めてたんじゃないの？」
翔「そうだけどさ、大学で弁護士なるってハッキリ決めるまでにいろいろあったわけ」
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作者名：はつる | 作成日時：2017年1月6日 23時
