あの約束は今もまだ《S.S》 (ページ29)

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29 -Sho side- -past- ページ29

母「翔、こちら深田コーポレーションの娘さんで、翔の婚約者の深田ユウナさんよ」

翔「……は？婚約者？」

父「翔、ちゃんと挨拶しなさい」

翔「俺日本に彼女置いてきたんだけど」

母「彼女って、川崎Aさんのことかしら」

翔「何で母さんが知ってんの…？」

母「ねぇ翔、もしかしてあなた、普通に恋愛して結婚できるとでも思ってたの？」

翔「……嘘だろ……まじかよ」

父「恋愛なんて意味のないもの、やめなさい。お前は櫻井フーズの社長になるんだ、いい加減自覚持ちなさい」

翔「無理。俺は弁護士になってAと結婚すんの。もう決めたんだよ」

母「ふふ、馬鹿ね。何のためにアメリカに留学してると思ってるのよ。あの子を忘れて、立派な社長になるためよ」

翔「は？ふざけんな」

その時、ガタン、と椅子の音がして、正面を見ると、娘が立っていた。

ユウナ「だったら、私と恋愛してください」

翔「は？」

ユウナ「私、翔さんに一目惚れしました」

娘は俺をまとわりつくような視線で見つめてきた。

俺は、あの時この世の全てに絶望したんだ。