あの約束は今もまだ《S.S》 (ページ23)

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そのとき、ピンポーンとチャイムが鳴った。

「はい」

翔「あの、俺でーす」

「はーい、今開けるね」

しばらくして、部屋のチャイムが鳴った。

玄関を開けると、今日はラフな格好の翔くんが、ふっと柔らかく笑った。

翔「よっ」

「ふふ、どうぞ上がって」

翔「おじゃましまーす」

あ、夫婦だったらここは“ただいま”と“おかえりなさい”になるのか。

それでただいまのチューとかしちゃったりして？

……あぁダメだ。妄想癖が出ちゃってる。

翔くんは、美味しそうな匂いがする、と言ってまた笑顔になった。

私はきっとこの笑顔があるだけで生きていけるんだろうな、と思った。

それも、けっこう本気で。

「翔くん、ワインとシャンパンどっちがいい？」

ごはんを食べ終わって、翔くんはドラマを観ながらゆっくりしていた。

私は皿を洗い終わって翔くんに声を掛けたが、返事がない。

「翔くん？あ…」

寝てる。

ソファに座ったまま、行儀よく寝てる。

……可愛い。

「翔くーん」

鼻をツンツンと触ってみたけど、全然起きそうにもない。

「ズルいよ…こんなに可愛く寝ちゃって…」

ふわふわの髪を触ってみたけど、やっぱりすやすや眠ってる。

よほど疲れてたのかな。

「ふあぁ……」

そんな翔くんを見てたら、私まで眠くなってきちゃって。

私はそのまま翔くんの膝の上で眠った。