沖田総悟の覚醒 ページ15
.
「新しい女中が来るから朝に近藤さんの所に来いって昨日言ってあっただろうが。」
「そういや言ってたような言ってなかったような…いや、やっぱ聞いてねーや。」
「言ったわ!いい加減にしろよお前!?」
「まぁまぁ落ち着けトシ。総悟、彼女は今日から女中として働いてくれるAちゃんだ。歳もお前と近そうだし気にかけてやるんだぞ。」
「へぇ……」
話しを聞いているようで聞いていない、どこか上の空で食べ進めていく総悟に二人は首を傾げる
だがこのドS王子は飄々と何を考えているか解らないのが通常運転みたいなものだ
いくらドSといっても居なくなると困る女中を虐めたりはさすがにしないだろう
土方と近藤は目だけでそう会話すると二人同時に深く頷いた
そこからは特に他愛ない会話をしながら食事を終えた三人は個々の仕事へ戻ってゆく……
だがこれから、二人の小さな不安は別の方向へと実現される事となる
昼食タイムが終わったAは戻ってきた食器を早々に片付け、食堂と厨房の掃除も埃一つ残す事なく完璧に仕上げる
「次は洗濯物かー」
朝見た時はかなりの山が連なっていたが、もしかしてまた更に増えてたりするのだろうか…
(ちょっと楽しみだな)
今までやった事がなかった為知らなかったが、自分は家事が好きなようだ
「……あれ?」
洗濯物がある縁側に着くと、そこには栗色の髪をした青年が一人のんびりと腰掛けていた
お昼休憩が終わったばかりのこの時間にのんびりと日向ぼっこなんて大丈夫なのだろうか?
一瞬非番なのかとも考えたが、隊服を着ているところを見るとそうではないだろう
Aの声が聞こえたのかその背中はゆっくりと振り返る
「どーも」
振り向いた青年は栗色の髪が良く似合う自分と同じ年頃の青年であり、隊服が土方や近藤と同じだということでAは食堂でよく覚えていた顔だった
.
17人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:湯葉 | 作成日時:2018年7月3日 8時