元、小鳥遊事務所の専属カメラマン。 (ページ7)

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(゜ロ゜) ページ7

「……つまりこういうことですか？
事件の後、皆さんから小言やらお説教を受けたから、てっきり九条さんもそうだと思ってノコノコ着いていったら、あろうことか告白……プロポーズされた、と」

『……ﾊｲ』

「彼は国民的アイドル、しかもセンター。
人気故にファンとの対峙は避けられませんし、なんならバッシングもあるでしょう。
公に発表する前ならスキャンダルにもなりかねません」

『うん』

「…………それで？貴女はどうしたいんですか」

話を聞いてくれた一織くんは淡々としていた。
驚きもせず、焦りもせず、私を見ている。
だから、なんか、少しだけびっくりして、聞いた。

『怒らないの？』

「なんで怒るんですか。内容や状況、相手によって他人や身内からよく思われないことはありますが、それまででしょう。
大事なのは如何に自分が相手を想うか。
……私が言えたことではありませんが、そういうことなんじゃないんですか。
少なくとも私は、今の話を聞いて不快に思ってはいません。むしろ……」

『むしろ？』

「…………もしも貴女が九条さんを同じように想っているなら喜ばしいことです。
例えそうじゃなくても、人から好意を寄せられるというのは、その人にとって自分が魅力的な人物に見えるということ。
好意が狂気的だとか、かなり偏りでもない限り、受けとめてもよろしいのでは？」

『そう……かな』

「そういうものです。
まぁ、先の事件のキッカケがアレなだけに、難しいかもしれませんが……。
で、貴女、九条さんをどう思っているんですか」

『どう思ってるか？』

「……例えば、顔とか、性格とか」

『うーん……。
声が好きだなぁ。たぶん、１番。好きなアーティストの楽曲みたいに、ずっと聞いていたい。

眼も好き。陸さんとか楽さんたちに、お説教なんかで刺々しいことを言うのに、怒っていても眼は優しい。相手を想っているからこそだよね。

仕事に誇りを持っているのもいいよね。
あのプロ意識は見習うべきだし、何より愛し愛されることの大切さを彼は知ってる。
どんなことにも真摯に、誠実に。きちんと向き合うところ、好きかな』

あとは……と続けようとしたら一織くんからストップがかかった。
やや呆れ顔で予想以上でした、と言って。

「そこまでなら、もう"好き"なんじゃないですか」

『……"好き"。そっか、好きかぁ』

舌で転がすように何度かその響きを繰り返した。
私、好きなんだ。