!Σ(×_×;)! ページ15
威厳を感じる、木造の門をくぐり抜けた。
この門を通るのは2回目だけど緊張感が張りつめる。
『えーと……。九条さん、いらっしゃい』
隣を歩いていた琴葉がボクに正面に向き直って、言った。照れ臭いのか頬をかいて、言って直ぐに視線をそらす。
「おじゃまします」
そんな反応に思わず笑ってしまう。
いくらかほぐれた緊張を、気持ちを整えてガラリ戸を開けた。
「当主様のお部屋にご案内します」
玄関に待っていたのは、あの日、琴葉を助ける為にボクらを支援してくれた後藤さんだった。
お互いに一通りの挨拶を済ませると後藤さんはそう言って前を歩き出す。
後藤さんは幼少期の琴葉の世話係だったみたいで、琴葉から話を何度か聞いたことがある。
初老の、白髪がチラホラ見えるグレイヘア。
"穏やかな表情を浮かべて、いつもニコニコしているから、皆に好かれてた。"
そう、記憶を探りながら呟いた彼女はあまり元気がなかった。なんでも、世話係なだけあって怒られたこともあるみたいで。
「いつもニコニコしているのに、怒るととんでもなく怖いんですよ……」
一緒に苦い記憶も掘り出しちゃったみたい。
苦々しく笑った。
長い廊下を歩く中でふと視線を感じる。それも複数……いや、かなりの人数の。
次第にヒソヒソと話し声も聞こえてきた。
……この感じはきっと門徒。
彼女から聞いてきた限りだと、この一門は本家__波川一族に崇拝に近い何かを抱いているらしいから、多分ソレ。
大方、一族の華が恋人を連れて来る…なんて聞いたから、その偵察かな。
なんとなく気になりながらも、気にかけたら負ける気がして、極力気にかけないことにした。なんで負けるなんて思ったかわからないけど。
「こちらです」
後藤さんは座り、部屋の中にいるだろう人物に声をかける。許可が出た後、障子に手をかけてゆっくりと引いていった。
「……いらっしゃい」
「こんにちは。お久しぶりです」
部屋の主は彼女の1番上のお兄さん、弥生さん。
柔和な笑顔に黒いオーラを纏わせてボクらを出迎える。
決戦、開始。
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作者名:ラディ | 作成日時:2019年5月12日 22時